人工妊娠中絶薬の話
長男を出産した後、私は二人目不妊に本当に悩みました。
たとえ二人目といえども、自分が「不妊」に悩むなどと想像したこともなかったので、あのころは心が家さぐれまくっていました。
妊娠してもすぐに流産することも繰り返していて、医師から「黄体機能の低下」を指摘されました。
妊娠はできるけどそれを継続する力がない、妊娠を継続させるのに必要な「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が不十分なので流産してしまうのだろう。次に妊娠に気付いたら、その瞬間に受診しなさい、黄体機能を補う薬を処方するからと言われました。
次男の妊娠に気付いた5週と二日めくらいに大急ぎで病院に行き、漢方薬を処方してもらい、次男は無事に生まれることができました。

日本でもようやく2023年に承認された経口妊娠中絶薬、メフィーゴパック。
ミフェプリストンとミソプロストールという作用機序の異なる2種類の薬からなり、ミフェブリストンは黄体ホルモンに作用して、胎児の成長を止める薬。
ミソプロストールは子宮を収縮させて、成長の止まった胎児を排出させると知った時、なんと合理的なんだろうと思いました。
黄体機能が止まれば胎児の生育は止まる、それはまさに私の2回の流産の体験そのものです。器械的に吸引法したり掻把したりするよりずっと自然で、安全なように思います。
海外では医療機関に受診しなくてもオンラインで購入でき、郵送で自宅に届き、自宅で初期妊娠中絶ができるそうです。
が、日本では受診して入院しないと処方されません。そして経口内服薬での中絶そのものが、まだまだ日本では普及していません。
昨日参加した「リプロダクティブ・ライツ」に関するトークイベント。

登壇した加藤雅枝さん(Wqman on web研究員)は、オランダから中絶を受けることが不可能あるいは制限されている国々に住む女性たちに安全な中絶薬へのアクセス情報を提供し、女性が希望する場合は郵送で中絶薬を提供する活動をしているそうです。
日本から年間1,000を超える女性から連絡があり、相談時の使用言語の65%を日本語が占めているそうです。
日本がいかに中絶にアクセスしにくい国なのかということを物語る数字だと思います。
今の社会は残念ながら、まだまだ女性に優しくない社会だと思います。「性」という世界でも力による脅威で女性が暴力に晒されていたり、避妊に対して全く無頓着・無責任な男性も少なくはありません。せめて医療は女性に優しくあってほしいものです。
診察台で足を開くときの気持ち、増してそれが望んでもいない妊娠であったら・・・。
女性を大切にする社会をどう作っていくのか。
私もその小さな力のひとつでありたいと思います。