10月の3連休の終わりに改めて母を思い・・・

2022年10月10日

10月10日は1964年に開催された東京オリンピックの開会式が行われた日で、一昔前までは「体育の日」と呼ばれていました。
今は10月の第二日曜日の次の月曜日、ハッピーマンデーが「スポーツの日」と位置付けられています。
いずれにしても、スポーツの日は土日月と3連休と位置付けられています。
昨年のこの3連休は、岐阜の老人保健施設に入所していた母をこちらの介護保険施設に入所させるために迎えに行ったことを改めて思い出します。
高齢になって適応力をなくした母が、「方言の話せる地で最期まで暮らしたい」という思いと、多分私のそばに来るのは少し安心という思いと、両方の気持ちを抱えながら、岐阜⇒長野⇒山梨⇒神奈川⇒東京⇒埼玉とはるばるやってきたのでした。

我が家からそんなに遠くない施設に入所しながら、コロナ禍のため気軽に面会することもできず、お出かけ好きな母を外出させてあげることもできませんでした。
母は決してお洒落な人ではなかったけど、お洒落をしたい人ではありました。
そんな母を、コロナが落ち着いたら外出に連れ出し、どこかのお店で好きな洋服でも買わせてあげたいと思っていました。
そういうことが何一つできないうちに、こちらに来てたった4カ月で母は死んでしまいました。
今でも年配の人向けのお洋服コーナーが目に入ると、心にフッと風が吹きます。
何もしてあげられなかったなぁという気持ちが、スッと胸を通り過ぎていきます。
たった4カ月で死んでしまうのなら、岐阜の施設にしがみついて離れなければ良かったのかなぁと胸が痛みます。

勇気を振り絞って連れてきたのに、たった4カ月で逝ってしまい、そしてあっという間に1年が過ぎ、時の流れを未だに受け入れきれない自分がいます。
もしかしたら連れてきたことは間違っていなかったのかもと思う事実が、二つだけあります。
一つは岐阜から中央自動車道を飛ばして埼玉に向かう途中、サービスエリアで母はアイスクリームが食べたいと言いました。
岐阜の施設に入所して約4年、受診で外出した折にお寿司を食べに連れて行ったことはありますが、甘いものを食べさせてあげたことはありませんでした。
でも、誰だってたまには少しは羽目を外して、アイスクリームの一つや二つ食べたいものだと思います。
信玄アイスを買ってあげると、とっても嬉しそうに「美味しい」と言って食べていた母の姿は今でも忘れられません。
もう一つはこちらの施設に入所して間もなく、心不全になって母は救急搬送されました。
退院後初めての通院の時、コーヒー好きの母にせめてコーヒーくらい飲ませてあげようとお店に入ったのですが、母が欲しがったのはコーヒーよりもケーキでした。
残された時間は決して長くはなく、母が望むならと希望するケーキを食べさせました。
その時の嬉しそうな顔も、忘れられません。

連れてきたときにはすっかり認知症になっていたので、連れてきたことを母がどう思っていたのか、知るすべもありません。
あれから1年。
時折心にフッと吹く風が、今日もまた吹いた気がします。