精神障害者保健福祉手帳2級所持者のタクシー券と自動車燃料チケット

2025年10月02日

9月議会は「精神保健福祉手帳2級所持者」が一つのキーワードだったと昨日書きましたが、実はとっても残念な条例改正があったのです。
「吉川市介護福祉総合条例」の一部を改正する条例案が提出され、精神保健福祉手帳2級所持者のタクシー券・自動車燃料チケットの交付を今年度いっぱいで廃止することが決まってしまったのでした。

廃止の理由としては、障害福祉費の増大していること。
特に精神保健福祉手帳2級所持者が想定を上回り、かなりの規模で多くなってしまっていること。そしてもう一つは精神障害者へのタクシー券・自動車燃料チケットは県内7割の自治体が1級所持者のみを対象としていて、2級所持者までを対象としている自治体は3割に過ぎないという説明でした。

確かに全国的に精神障害者保健福祉手帳を取得する人が増えていて、そのうちの半数以上が2級と言われています。
吉川市でも同様の傾向があることはよくわかります。
でも、日本国憲法25条は、「国は全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と明記しています。
「対象者が増えたから後退させる」という考え方で良いのでしょうか?

90年代に入り、病床削減と精神障害者の人権の両方から、施設への収容主義から地域へと精神科医療は方針を大きく変えてきました。この方針転換はまだまだ道半ばです。
八王子市の精神科病院、滝山病院での患者虐待事件が発覚したのはつい一昨年の2月でした。日本精神科病院協会会長が自ら、「精神障害者は入院していた方が幸せだ」と発言し、物議をかもしたのも一昨年です。
繰り返し退院を求めたにも関わらず40年もの長きに亘り入院生活を強いられてきた伊藤時雄さんが精神医療国家賠償を求めて戦った裁判は、2020年に始まり今年7月に非常に残念な結果に終わりました。

精神障害者が地域で当たり前に暮らすことを大切にしようとする力と、精神障害者を病院に、そしてベッドに縛り付けようとする力とは未だにせめぎ合いを続けています。
そういう中で、吉川市は昭和61年にこの制度をスタートさせた(自動車燃料チケットは平成3年から)当初から、1級2級と分け隔てることなく支援をしてきたことは本当に素晴らしく、大切なことだと思います。
タクシー券も自動車燃料チケットも精神障害者の方々の外出・通院を支援し、地域での暮らしを支えるこの制度は非常に重要な制度だと思います。
それを後退させてしまう今回の提案はあまりにも残念でなりません。
私は共産党議員団を代表して反対討論をしましたが、本当に残念なことに反対したのは私たち共産党議員団だけでした。本当に残念です。