3.11放射線汚染土は、今・・・

2021年03月12日

10年前の3月11日の東電福島第一原発事故によって飛散した放射性物質により、埼玉県では吉川市とお隣の三郷市、二つの自治体が「汚染状況重点調査地域」に指定されました。
環境省によると、2017年3月末現在、福島県を中心に全国で8県92市町村が指定されており、当該市町村が中心となって除染を実施することになっています。

吉川市でも2011年11月に除染計画が立案され、小中学校・保育所・公園・通学路などを対象に除染作業が行われました。
発生した汚染土は、小中学校等各施設や市環境センターに併設する一般廃棄物最終処分場に保管されています。
国のガイドラインに基づいて、フレコンバッグに詰めた汚染土を遮水シートで覆い、更に30cmの土により盛土して保管しています。
フレコンバッグの耐久年数は3~5年 、遮水シートの耐用年数が15年程度とのことです。
校庭の片隅に埋設され、土が盛られているのでわかる人にはわかる・・・。
けれど、10年経過して教職員でさえその盛土が何なのかわからない人も増えていると、最終処分もされないまま置かれていることに不安を抱く保護者や教職員の声も聞いています。

次男が卒業した中央中学校は、校庭の広さが県内でもトップクラスと聞く学校です。
グラウンドの片隅には、359個のフレコンバッグに詰めた除染土が埋設されています。


このところ、この敷地の中で工事が行われています。
何の工事だろうと思っていたのですが、グラウンドの排水のためのU字溝を埋設する工事のようです。
道路と校庭を仕切るフェンスの内側に学校の土地ではなく区画整理事業の敷地があり、今回の工事も学校の工事ではなく、区画整理の工事ということです。

先日、先輩の遠藤義法さんから、ちょうど工事をしている辺りに汚染土が埋設してあるのではないか、埋設している上をユンボが通っているのではないかとのお話がありました。
ちょうどその日は文教福祉常任委員会の予算審議だったので、そこで質問しました。

市の答弁は、「工事を始める前に学校ともずいぶん協議してやっている。汚染土について干渉することがないよう、配慮していただくようにお願いしている。現場は随時我々の方でも確認していきたいが、あくまでも中央土地区画の方で持っている敷地の範囲内で納めるよう、お願いしている」というものでした。
また「フェンス等で干渉しないような形をとって実施している」とのお話もありました。

今日、議員団で現地を確認してきました。

ユンボのちょうど右側、盛土してあるところから右が汚染土の埋設してある場所とのことです。
埋設してあるところの左側での工事だから問題ない。
盛土したところもユンボが5~6回進入してしまったけど、もともと埋設したときも重機が入って地面を均しているのだから、問題ない。
そんなお話でした。

・・・・・(。´・ω・)?

大丈夫だという根拠はないような気がします。

耐用年数はとっくに過ぎたフレコンバッグ。
埋設したまま一度も中をのぞいたことのない地面の安全性を主張することは、誰にもできないと思います。
でも、掘り返すわけにもいかない。
どこかに移設しようとすれば、その作業によってフレコンバッグや遮水シートが破れる可能性だって否定できず、かえって危険を招くリスクがあると思います。

本来は10年前のあの時、東電と国の責任においてきちんと処理するべきものだったと思います。
「当該市町村が中心となって除染を実施する」という環境省の方針、あまりにも無責任だと思います。
国策によって進められてきた原子力発電。
国と東電によって引き起こされた原発事故。
その責任が自治体に押し付けられ、汚染土の処分について何の方針も示されず、その管理まで自治体任せ。
しかも学校や保育園・幼稚園・公園という、子どもたちの最も身近な場所に埋設されているという事実。
そして汚染土が埋設されている事実さえいつしか風化され、忘れられていきそうでとても怖い・・・。

3.11から10年の今改めて、本気で、原発について考えなくてはいけないと思います。
菅首相は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と、「脱炭素社会の実現」を表明しています。
しかしその実現のために、「省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策を進める」との方針です。
安全最優先の原子力政策って何でしょうか。
絶対安全な原子力ってあるのでしょうか。

原発推進で脱炭素社会を実現するようなやり方、許してはいけないと強く思います。