貧困とどう闘うか~反貧困ネットワーク事務局長 瀬戸大作さんとの懇談会

2025年09月11日

10日ほど前の話になってしまいましたが、8月22日、日本共産党埼玉県議団主催、反貧困ネットワーク事務局長 瀬戸大作さんを埼玉教育会館にお迎えしての懇談会が開催されました。

2008年末に日比谷公園で開催された「年越し派遣村」、村長だった湯浅誠さんの後を引き継ぎ、反貧困ネットワークの中心的役割を果たしているのが瀬戸大作さんです。実は昨年6月、若い生活保護受給者が住まいを失いそうになり、困り果てたことがありました。瀬戸さんに相談をすると、翌日には吉川市役所までわざわざお出で下さり、手を差し伸べてくれたのが瀬戸さんでした。瀬戸さんは吉川市の事例も交え、最近の困窮者の相談の特徴など丁寧にお話ししてくださいました。

若い世代のメール相談が増えている!

20~30代の相談が、全体の20%を占めるようになってきました。「年越し派遣村」の頃は中高年の男性が多かったのですが、今は若い世代からのメール相談が増えています。しかも、そもそもネットカフェ難民で家がなく、所持金も100円、非正規雇用というような状況です。
瀬戸さんは8月だけで80件、駆け付け、アウトリーチ型支援を行ったそうです。

女性の相談が増えている!

「年越し派遣村」では訪れた560人の内女性は5人だけでした。また一昨年までは、女性の相談は全体の20%程度でした。それが急激に変わり、女性の相談が増えているそうです。
女性の相談者はDV・虐待・職場のパワハラなどの被害体験を持ち、その環境の中で精神疾患を発症しているケースが多いのが特徴です。
単純に「仕事を切り棄てられた」という問題ではなく、気長な手厚い支援が必要です。

反貧困ネットワークの活動

ネットカフェ難民、非正規雇用の方の平均収入は月11万円です。反貧困ネットワークでは都内にシェルターを25カ所、犬猫可のシェルターも4カ所持ち、入居支援や費用のサポートをしています。
生活保護受給者の居所として「無料定額宿泊所」がありますが、多くの問題を抱えた施設です。ここを出てきた方への支援も、反貧困ネットワークは行っています。

無料定額宿泊所の問題点

無料定額宿泊所は法令で基準が定められています。例えば専任の施設長の配置・食事空間と居住空間の分離・本人による金銭管理・毎日入浴などです。
しかし居住空間と食事空間の分離もなく、狭い空間に閉じ込め、生活保護費も本人に管理させずに取り上げる、外出の自由がない。更には専任の施設長を配置せずに入居者に入居者を管理・監視させるという施設も少なくありません。入居者が人生に絶望しているような状況の施設もあります。
もちろん良心的な施設もあり、反貧困ネットワークの所持するシェルターも、法的には「無料定額宿泊所」として登録しています。

新手の貧困ビジネス「宿所提供施設」

インターネットに「住む家がない」などと入力して検索すると、「今日から泊まれるアパートあります」というようなサイトがたくさん出てきます。入居条件として生活保護を申請させ、保護費を搾取するようなビジネスです。
若い生活困窮者の存在、特に女性の貧困に目を向け、支援に繋がった方々がその後どのような処遇を受けているのか。

「施設収容主義」とも戦わなくてはいけないなど、非常にアグレッシブな瀬戸さんの活動をご紹介いただき、反貧困の今について深く学ぶ機会となりました。