『私はダニエル・ブレイク』
9月議会の最終日、岩田京子議員は「最高裁判決を踏まえた全ての生活保護利用者に対する速やかな被害回復措置を求める意見書」を提案しました。
2013年~15年、生活扶助基準が平均6.5%、最大10%引き下げられました。全国各地で処分取り消しを求める裁判が起こされ、今年6月27日、最高裁は厚労大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱または濫用があるとして、保護費引き下げは違法との判決を下しました。
この判決に基づいて岩田京子議員は意見書を提案したわけです。
この提案に対し、非常に小難しくて答弁に窮するような質問が出され、結局賛成したのは岩田議員が所属する平和市民クラブと私たち共産党議員団の6名だけ。14対6で否決されてしまいました。
質疑を聞いていて、質問した議員は恐らく生活保護受給者の現実を知らないんだろうなぁと思いました。
裁判を起こすに至った受給者のみなさんの追い詰められたくらしなど知らないし、思いを馳せることもないからこういう質問に終始できるんだろうなぁと思ってしまったのでした。
「私はダニエル・ブレイク」(青年劇場)を観ました。

心疾患で医師から働くことを止められた男性が支援手当を受けようと役所に行くと、「50m歩けるか」「腕は上がるか」「記憶は?」と見当違いの質問のオンパレード。そして申し込みはオンラインで。パソコンがないと言っても「アプリで申請ができる」とか、直接面談を申し込みたいと言っても「オンラインで申し込め」と。
支援を受けるためには求職活動が求められ、必死で求職活動をしても「証拠がない」。何か言えば「罰則」で支援が止められそうになる。
求職活動先から「ぜひ働きに来てほしい」と言われ、「ドクターストップで働けない」と打ち明けるとそれなら何のために面接に来たのかとなじられ、ろくでなし扱いを受ける。
閉塞感しかない、八方塞がりな暮らしの中で、それでも同じように貧しい人と支え合いながら生きているダニエル・ブレイク。
時々舞台の後ろで、様々な政治家の発言が字幕で流されます。鉄の女サッチャーは、「イギリスには貧困はない。貧困らしきものはあるが、それはお金の使い方がわかっていない人々だ」というような発言をしていて、貧困が自己責任にされてしまっていることがとてもよくわかる一言でした。
舞台を観ながら、何度も繰り返し市議会の最終日のやり取りが頭を過りました。
数年前に同名の映画を観ました。鋭い映画だなぁと思い、心に残りました。
舞台でどのように表現するのだろうと思っていましたが、面白かったです。惹きつけられました。