中川の郷療育センターを視察させていただきました

2025年10月29日

2009年、私は「訪問看護認定看護師」という資格を取得するため、仕事を休職して半年間の研修を受講していました。
結構ハードな研修だったのですが、資格を取って間もなく病気を患い現場を離れてしまったので、せっかく取った資格を十分に活かすことができずに終わってしまったのですが😢
研修中4週間だったか6週間だったか忘れてしまいましたが、自宅を離れて名古屋の大きな訪問看護ステーションに実習に行きました。かなり大規模に事業展開している事業所で、重度障害の小児もたくさん利用されていました。特に先天性の染色体異常などでかつてなら1歳のお誕生日を迎えることも困難だった子どもたちが、人工呼吸器などの医療機器を装着しながらも今や小学校入学を迎える時代となり、どのような修学形態を用意できるかが社会の側の問題だと学びました。
生まれた時から生きていく上で人工呼吸器が必要な子どもが現実にたくさんいて、その生命をどう愛しむのか、社会の側の体制がまだ追い付いていないのだと深く学んだ研修でした。

漫画家の山本おさむさんが『どんぐりの家』という作品で、視覚障害・聴覚障害と知的障害などの重複障害をもつお子さんが通える施設を作ってほしいと立ち上がる埼玉の母親たちの運動を描いています。
その運動で県が嵐山町に重度心身障害児の施設をつくったのだと理解していますが、嵐山町から遠く離れた埼玉県東部地域では越谷・草加・八潮・三郷・吉川・松伏の5市1町が協力して社会福祉法人を90年代に立ち上げ、「中川の郷療育センター」をつくったのだと理解しています。
中川の郷療育センターは診療報酬の他に県と各自治体から拠出金が出ていて、それで地域の重度障害児と障害者の療育を支援しているのだと思っています。

今日は5市1町の有志の議員のみなさんと一緒に中川の郷療育センターを訪問し、つい先日まで所長だった許斐先生にお話を伺いました。
開設以来約30年診療報酬はほぼ変わらず、物価の高騰に消費税の負担増、そこにこの数年の人事院勧告による負担増が重なり、その運営はかなり厳しい状況に陥っているというお話を伺いました。
経営は厳しいのにその役割は更に大きくなってきていて、人工呼吸器装着のこどもの数だけを見ても、2011年の8名から2016年には14名、2023年には24名と、10年余りで3倍にもなっている現実を学びました。
こういう大切な事業に診療報酬が増額されない、理解しがたい現実を学びました。