『ドキュメント クマから逃げのびた人々』

2025年11月19日

環境省の発表によると、今年4月~10月末現在でクマによる人身被害は過去最悪196人・176件、死者数は倍増し13人とのことです。

近々長野県・岐阜県に行く予定があります。
どちらもクマがいそうな場所なので本当に行って良いのか、もし万が一クマに遭遇したらどうしたら良いのかちゃんと勉強しておこうと思い、本を読みました。『ドキュメント クマから逃げのびた人々』(三才ブックス)。

1992年、日本野生生物研究センター(現・自然環境研究センター)はツキノワグマの生息数を8400~12600頭と推定値を算出しました。2024年には参考値ですが、全国で45000頭と見られます。
ツキノワグマの生息地はアジア各地に広がっていますが、日本以外では個体数も分布域も急速に減少しているそうです。世界中で日本だけが分布域も個体数も広げていると見られます。
その理由は里山の過疎化・高齢化で耕作地だったところが放棄され、そこに広葉樹林が広がり、森が戻ってきていること。生活様式が変わり、薪や炭の需要がなくなったこと、焼畑農業が減少したこと、高齢化でマタギなどクマの狩猟者が減少していること、電気柵の設置やごみの処理などクマの誘引物の取り除きなども年配者の多い集落には重荷になっている。クマへのプレッシャーや防御が手薄になっていることも、クマの分布拡大に影響していると見られます。
因みに九州のツキノワグマは1940年代に絶滅、四国でも徳島県の剣山系に16~24頭いるのみと見られているそうです。

ツキノワグマが捕食目的で人間を襲うことは99%なく、クマが人間を襲う理由の多くは防御・セルフディフェンス的なものと考えられます。
突然背後から襲われたり、遠くから突進して来たり、何故攻撃してくるのか理解しがたいパターンもありますが、気付かぬうちに近くに子グマがいたのかもしれません。何かクマに取って気に食わないことがあり、その人間を排除したいと思ったのでしょう・・・ということでした。
一口に「クマ」と言っても個体差は大きく、気の荒いクマもいればおとなしいクマもいる。
たまたま遭遇したクマがどういう性格かによって、その後の展開は全然変わる可能性があるようです。

でも一般的にクマは臆病な性格で、人馴れしたクマは別として通常は人間に遭遇したいと向こうも思っていなく、人間の気配に気付けばそこから逃げるか、姿を消すそうです。
声を出す、音(クマ鈴)を出す。襲われるときはひとりの時が多いので、複数で行動する。
クマが人間の存在に気付きにくい自然環境、例えば雨、風が木々の枝を鳴らして人間の発した声や音が聞こえにくい、川の近くで瀬音が高い、などのところでは要注意。
それでもクマに遭ってしまったら、クマは逃げるものを追いかける習性があるので逃げてはいけない。距離を詰められて襲われそうになったら、報道されているように地面に伏せて首と顔を守るように防御姿勢をとる。とっさに身を守るにはこの方法しかないそうです。
クマよけスプレーはクマの風上で使うならそれなりに有効だけど至難の業。クマの弱点は鼻。
なんとかクマを交わして撃退しても体制を立て直して再度襲ってくる可能性があるので、去って行ったからといって安易に気を抜いてはいけない・・・。

というようなことが書かれていました。
長野・岐阜は団体で行くので大丈夫だと思いますが、念のため一応クマ除けスプレーとヘルメットを持って行こうと思いました。