『ペリリュー~楽園のゲルニカ~』

2025年12月10日

映画『ペリリュー~楽園のゲルニカ』を観ました。

アジア太平洋戦争末期のパラオ諸島、ペリリュー島での戦争を描いた作品です。
背景、動植物の描写が素晴らしく美しく、戦闘の場面は恐ろしくリアルで、なのに人間は3身等で表情などは非常に単純化されていて、とても惹かれました。

サイパン・グアム・テニアンが陥落し戦況が厳しくなる中、ペリリュー島には1万人の兵が集められ、陸・海・空から攻めてくるアメリカに応戦。激しい攻撃を受け、残った日本兵はわずか34人。
この人数ではとてもアメリカとは戦えないので、戦況が回復し日本軍が海の向こうから再度攻め込んできたその時に、島の中からアメリカ軍を攻撃しようと34人は島の中に潜伏。
途中アメリカの新聞で日本の無条件降伏や広島・長崎への新型爆弾の投下なども知りましたが、その真偽がわからず、戦争が終わって2年近く。1947年4月まで潜伏は続きました。

最後に投降を試みた二人は、「生きて虜囚の辱めを受けず」とした戦陣訓を理由に仲間たちの襲撃を受け、一人は殺されてしまいます。
生きる権利・健康に生きる権利・幸せに生きる権利・自由な意思に基づき選択する権利などなど基本的人権が侵害された戦地の惨酷な世界が、切ないタッチで描かれていました。

こんなことが本当にあったのだろうかと思って調べてみたところ事実であり、関連図書も出版されていて、スピルバーグ監督が『ザ・パシフィック』という映画に描いていることを知りました。
知らないことがまだまだ、まだまだいっぱいあるんだな。