加害者家族支援の大切さを学びました
昨日読み終えた本は『夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害家族」』(斎藤章佳著 朝日新書)です。

性暴力被害に限らず、犯罪被害者やその家族への支援の大切さは既に社会的に認知されていることだと思います。が、加害者家族への支援というのはあまり考えたことがありませんでした。
欧米では加害者家族は「隠れた被害者」と呼ばれ、法制度や地域での支援の仕組みが整えられているそうです。
しかし日本ではこうした認識も制度も整えられていません。
齋藤さんのクリニックでは性加害者の家族会を、「母親の会」「父親の会」「妻の会」の3つのグループに分けて開催しているそうです。
加害者臨床の現場では、家族からの支援によって加害者の治療定着率が上がる傾向があること、家族の誰かが家族支援グループに繋がっていることによって、性加害者本人の治療からのドロップアウト率も低下することが、クリニックの調査で分かっているそうです。
日本では残念なことに、「親の育て方が悪かった」「妻が夫の性欲のケアをしていなかった」と加害者本人だけでなく家族が責められる傾向があります。実際に警察でも裁判所でも、夫婦の性的な関係について赤裸々に聞かれたりするそうです。
でもクリニックでの痴漢加害者200人への聞き取り調査の結果では、半数以上の人が「痴漢行為に勃起や射精を伴っていない」と答えているそうです。この回答には信憑性や妥当性に若干の問題もあるそうですが、重要な示唆を与える回答です。
性加害を性欲の問題として「性欲を押さえられなかっただけ」と捉えてしまうと、「なぜ性を使った暴力を選択したのか」という本質的な問題を見逃してしまいます。
性犯罪の本質は「自らの弱さを認めず、他人を傷つけ、自らの優位性を確認し、自分よりも小さくて弱い者を支配することでその欲求を満たそうとすること」「性加害は言い換えると誤ったストレスコーピング(対処行動)の結果である。単なる性欲の問題ではない」と著者は書いています。
なるほどなぁと思います。
性加害行為を許すことは絶対にできませんが、犯罪を繰り返させないためにも、そして新たな被害者を生まないためにも、加害者に寄り添い伴走する誰かの存在が欠かせないのだと思いました。
そして多くの場合その役割を担うことになるご家族をしっかりと支えること、それがとても大切なことだと学びました。
あ!
これはその役割を家族が担うべきだとか、家族に役割を押し付けようとか、そういう話ではもちろんありません。
この本の冒頭に、秋葉原無差別殺傷事件の加害者の弟さんが事件後6年を経て週刊誌の取材に対し、「加害者家族は幸せになっちゃいけない」「生きることを諦めようと決めた」と語った事実と、取材から1週間後に自ら命を絶った事実が記されています。
全く知りませんでした。
加害者家族に焦点を当てた支援の重要性をはっきりと感じました。
