在日クルド人と共に暮らす~温井立央さんの講演
埼玉AALA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会)の新春のつどいに参加した目的は、「在日クルド人と共に暮らす」の温井立央さんの講演を聴くためでした。
先週の朝ドラ「ばけばけ」はヘブン先生との結婚で松野家が莫大な借金を返し終えたと新聞に報じられたことで、「なんだ、ラシャメンだったのか」とおトキさんにも松野家にも冷ややかな視線が向けられました。視線だけならまだ良いのですが、ゴミやら何やらを庭に投げ込まれ、買い物に行っても商品も売ってもらえないというありさまでした。
それが「知事の食い逃げ事件」が報じられると、人々の冷ややかな視線と攻撃が今度は知事に集まり、おトキさんたちは平穏な生活を取り戻していきました。
要するに攻撃の対象は何でも良くて、しかも露骨で陰湿で不快でした。
ドラマではサラッと描いていましたが、今の社会を風刺しているんだなぁと思いながら観ました。
外国人ヘイトというと、かつては在日朝鮮人が主な対象でした。
2009年、家族の中でただひとり在留特別許可を得たフィリピン国籍の女子中学生に対し、在特会(在日特権を許さない市民の会)はデモを行いました。デモ隊は中学生が在籍している中学校の前で「出ていけ」と叫んで罵倒しました。
これがSNSで拡散され、在特会が大きくなっていくきっかけとなりました。
2010年代には中国人が多く住む芝園団地や西川口周辺で人種差別主義者が排外デモを行いました。
そして今、その排外主義はクルド人に向けられています。
「クルド人と共に暮らす」には2023年~25年の間に260通の排外主義的メールが届いているそうです。
「クルド人は不法移民の犯罪者の癖に好き勝手して日本の治安悪化と侵略をしている。クルド人は死ぬべき。人権なんてない。差別されて然るべき。これ以上好き勝手するようならクルド人を殺す」というメールを送り付けてきた人は特定され、逮捕されました。
謝罪をしたいというので会ったところ、全く普通のただのサラリーマンだったそうです。
YouTubeを見て義憤にかられたようです。また、会社を自主退社させられた腹いせでもあったそうです。
日本の難民認定率が諸外国と比べると極めて低いことはよく知られているところだと思いますが、中でもトルコ国籍のクルド人の難民認定は皆無に等しいとのこと。
1990年代からクルド人が来日しているそうですが、2022年まで誰一人として難民認定されなかったそうです。
2019年のトルコ出身申請者の難民認定率はドイツ45.2%、アメリカ86.2%、カナダ97.5%に対して、日本は0%です(@ ̄□ ̄@;)!!
日本で暮らすトルコ国籍の人々は7,842人で、そのうち2,394人が埼玉県で暮らしています。そして川口市には1,439人が川口市で暮らしています。その他に在留資格のない非正規滞在の仮放免の人が700人ほどいるということで、埼玉県で暮らすトルコ国籍の方は約3,000人。その大半がクルド人と推測されています。
こんな状況下で昨年5月、入管庁は「ルールを守らない外国人を速やかに我が国から退去させるための対応策」、「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」をまとめました。
昨年1月~8月に国費で強制送還された外国人は203名。
国籍別ではトルコが41名出最も多く、難民申請中なら送還されないという「送還停止効」の例外を適用して送還された人も22人と最も多いとのこと。とりわけ昨年6月以降、送還は目に見えて急増しているそうです。そうして強制送還されているクルド人は、トルコではその独自の言語も文化も認められず、1990年代には3,000以上の村が消え、4万人が死亡。
2015年には数百人のクルド人が「テロリスト」としてトルコの治安部隊に殺害されました。
そういう国に帰ることを強要する日本。クルド人の人々の人権は全く守られず、どんなに落胆したことかと思うと本当に悲しくなるお話しでした。
今日のお話しの中で、「憎悪のピラミッド」を知りました。

