加害者臨床×包括的性教育
昨日は「西川口榎本クリニック開院1周年記念セミナー、シリーズ:子どもたちの性を考える 加害者臨床×包括的性教育」に参加しました。
榎本クリニックさんは池袋・飯田橋など東京・神奈川・埼玉の計7カ所で事業展開をする、主に精神科のクリニックです。
このセミナーに参加しようと思ったのは、性加害者臨床に取り組む精神保健福祉士の斎藤章佳さんが主催するセミナーだったからです。
コロナ禍で何もかもがストップしていた時、私は1日1冊の読書を自分に課していました。その時に読んだ1冊が齋藤さんが書いた「小児性愛という病~それは愛ではない~」という本でした。
子どもを対象とする性暴力などとんでもないと思っていました(もちろん今も)が、この本を読んで、これはアルコール依存やギャンブル依存と同じように「依存症」「嗜癖」であって治療の対象なのだと深く学びました。
また私は議会で「包括的性教育」の実施を求めていますが、前回(確か今年の3月)は齋藤さんの著書『性的同意は世界を救う』をかなり参考に質問させていただきました。そんなこともあり、斎藤さんの著書は性暴力・性教育を考える時、私のひとつのバイブルのような存在になっています。
その齋藤章佳さんが主催するセミナーがこんなに近いところで開催されるなら、そりゃぁ行かなきゃと思ったのでした(⋈◍>◡<◍)。✧♡
セミナーではとても興味深い話が語られました。
加害者臨床では必ず、はじめての性に関するトピックスと初めて性加害が発覚した時期を聞いているそうです。
そこで分かったことは、性加害をはじめてから発覚するまでの平均期間、盗撮は7.2年痴漢は8年子どもへの性加害はなんと14年ということですΣ(・ω・ノ)ノ!
早いうちに発覚したとしても「男の子だからこれくらいは・・・」と問題が見過ごされてしまい、本人も負の成功体験を積み重ねて繰り返し続けてしまう、そういう問題があるということ。
だからこそ早い段階で治療につなぐことがとても大事で、しかし残念ながらこういう依存症患者を受け入れる専門機関が非常に少なく、相談先がないという現状。
「日本児童青年精神医学雑誌2023」に掲載された「性加害少年の特徴と背景について 京都少年鑑別所における性加害少年の特徴:性加害以外の非行少年と性加害少年を比較して」によると、
➊IQが高く、成績が良く、学歴が高い。また不登校歴も少ない(性非行以外31.5% 性加害14.0%)。
❷両親が揃っていることが多く、一方でいじめ被害の経験が多い(性非行以外26.5% 性加害42.1%)。
❸薬物使用歴がほとんどなく(性非行以外22.7% 性加害5.3%)、万引き・無免許運転、暴走行為、分身などの非行歴もない。性犯罪者は他の犯罪と異なり、高学歴・高収入の職業の男性にもみられると考えられる。
性加害少年は一見「普通の少年」であり、学校生活に適応していることが多い。従って、教育現場で正確な性に関する知識を教えることは合理的であり、効果的であると考えられると、研究者の定本さん・山田さんは結んでいるそうです。
また斎藤さんたちの性加害者臨床の10代のお子さんに調査したところ、最初の性問題行動を起こした年齢は、平均9.6歳。最初の性関連情報を得るのは平均6.5歳。
早い時期に人権も含めて、性についての正しい知識を子どもたちに学んでもらう必要があることが、こうしたデータから明らかだと思います。
吉川の市議会では私も何度か「包括的性教育」について質問していますが、参政党の宮窪議員も質問しています。宮窪議員の質問の趣旨は私とは真逆で、「包括的性教育はまだ性に対する認識も不十分な子どもに、自分は『男』なのか『女』なのかということを問い詰め、子どもを追い詰めるものであり、吉川市の小中学校では取り組まないように」と求める趣旨だったと理解しています。
でもこういうことを学ぶと、やっぱり「性」に関して人権なども含めあらゆる角度からきちんと学ぶ「包括的性教育」がとっても重要だと私は改めて思ったのでした
