創造集団池小『同郷同年』
昨日は創造集団池小の舞台『同年同郷』と『少年口伝隊一九四五』を観てきました。

『同郷同年』は劇作家くるみざわしんさんの作品です。
昨年、東憲司さん演出の舞台をザムザ阿佐ヶ谷で観ましたが、他の方の演出で他の俳優さんが演じる舞台を観てみたいと思い、行ってきました。
ど田舎のまちで、人口も減り農業も衰退する中でまちの再生のためにはこれしかないと、原発から出た放射性廃棄物の最終処分場の誘致を試みる同郷同年の3人の男性の物語です。
年を経る中で3人の立場は少しずつ変わっていきます。
「同郷同年」という言葉は友情を示す言葉でもあり、仲間意識・連帯を示す言葉でもありながら、時に嫌味であり、互いを拘束し縛り付ける言葉でもあり。
有りもしないウソをでっち上げ、人々に吹聴し、否定されればされるほど怪しいと思う人心を利用して反対する者の口を封じ、追い込む。
最終処分場を誘致することができれば国からは膨大な補助金が支払われ、町は潤いを取り戻す(?)
原発の稼働で最終処分方法も定まらない放射性廃棄物を未だ発生させ続け、そのしわ寄せを過疎に悩むど田舎のまちに押し付けようとする国と電力会社。
そんなことが描かれた、深く考えさせられる舞台です。
創造集団池小のみなさんは結構ご年配な印象で、酸いも甘いもかみ分けた大人の人間の嫌らしさが半端なく演じられていて、背中が寒くなるような舞台でした。
『少年口伝隊一九四五』は井上ひさしさんの作品です。
原爆が投下され都市機能が麻痺したヒロシマで、みなしごになった少年たちが新聞社の情報を市内各地で口伝えするお話です。
玉音放送や原爆病、米兵のための特殊慰安所(RAA)、敗戦1か月後に大型台風に襲われてたくさんの被害者が生まれたことなども描かれていました。
原爆が投下された後、それでも日本は最後のひとりまで戦うと発表されたり、ヒロシマの人々は崖に竪穴をつくってそこで暮らせという指示が出てみたり、戦争の愚かさを率直に描く作品でした。