『七十歳死亡法案、可決』(@ ̄□ ̄@;)!!←本のタイトルです

2021年02月23日

Facebookで「おすすめの本」というグループにだいぶ前にお誘いいただき、時々チェックさせていただいています。
その中で『七十歳死亡法案、可決』というセンセーショナルなタイトルの本を見つけ、どうしても読んでみたくなりました。
垣谷美雨著、出版社は幻冬舎です。

「七十歳死亡法案」が可決され、日本国籍を有する者は誰しも70歳の誕生日から30日以内に死ななければならなくなりました。政府は安楽死の方法を数種類用意し、対象者はその中から自由に死ぬ方法を選べるという法律です。

なんとまぁ、いくら本とはいえ・・・💦
というような、衝撃を与えるのは題名だけでなく、その書き出しもです。
法律の施行は2年後からということです。

70歳以上のすべての人は後2年だけの命と定められ、50代の人はあと10数年しか人生が残されていないことに焦り、20代だってこの法律に影響を受けないわけではない。
みんながそれぞれに残された人生を考える中で、「嫁だから姑の介護をするのは当たり前」「専業主婦なんだから、一人で介護を背負って当たり前」。そして「嫁なんだから遺産相続の話し合いに参加しなくて当たり前」。
そういう社会への疑問を投げかけます。
更に、「娘なんだから、介護に疲れた母親を手伝うのは当たり前」。
男性は家にいても何もできないのだから、母親の介護を嫁に任せきりにして、残り少ない人生を謳歌するために一人海外旅行に出かけても当たり前・・・。
夜中でも何でも頻繁に大声でたたき起こされ、奴隷のように支配され、嫁(母親)一人だけが疲れ果てていく・・・。
そして、そんな妻が家出してしまったら、今度は引きこもりの息子が介護して当たり前・・・。

そんな状況の中で、家族みんなが自分の役割を見直していく過程が描かれています。
夫がお母さんの部屋で寝るようになったら、夜中に目覚めても息子の寝息に、また安心して眠れるようになったお母さん。
車いすを借りて日中は車いすで過ごすことを提案され、住宅改修により庭に出ることができるようになったり、部屋の片隅にトイレを作り、軽介助での排泄が可能になり・・・。
引きこもりだった息子も、おばあちゃんの介護を通して少しずつ自分を取り戻し、やがて自立・・・。

家出した女性は当初、専業主婦ではアパートも借りられないという厳しい現実に戸惑いはしたものの、仕事を見つけ、長年専業主婦をしてきたからこその能力を発揮して・・・。

介護は誰が背負わなくてはいけないというものではなく、みんながそれぞれできることを担い合いつつ、お互いに自立した生活も同時に目指していくことが大切で、同時にみんなそれぞれに介護ができない事情も抱えている、それを認め合うこともまた大事・・・。
そんなことを訴えているお話のように思いました。

つい最近、森喜朗オリンピック・パラリンピック組織委員会前会長の発言がとても大きなニュースになりました。
「これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは、女性がたくさん入っている理事会、理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言います。ラグビー協会は倍の時間がかかる。女性がいま5人か。女性は競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分もやらなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局、女性はそういう、あまり私が言うと、これはまた悪口を言ったと書かれるが、必ずしも数で増やす場合は、時間も規制しないとなかなか終わらないと困る」。
つくづく、ひどい発言だと思います。
特に、「女性は競争意識が強い。誰か一人が手をあげると…云々」のくだりは何度読んでも何度聞いても、気持ちが悪くなります。
社会参加、それからこういう重要な会議もそうですが、「男だから」「女だから」に拘らないで、互いの能力を認め合い、できることを補完し合い、みんなで完成させていく・・・。
そういう姿勢が求められているのだと思います。

この本は非常にセンセーショナルな題名でありながら、そういう社会をみんなで一緒に作っていこうと呼び掛けているように感じます。
面白い本でした。
ご一読をお勧めします(⋈◍>◡<◍)。✧♡