すべての子どもに学ぶ場を

2020年11月17日

JCP‐つわぶきサポーターズは毎月、DVD視聴会を開催しています。
少し前の話になりますが、9月に観たDVDはETV特集「すべての子どもに学ぶ場を~ある中学校と外国人 生徒の歳月」でした。

去年国が行った外国人の子どもの調査で、学校に在籍すらしていない不就学の児童生徒が全国におよそ2万人いることが明らかになりました。
外国人の子どもは義務教育の対象外です。
対応は自治体に任されています。

岐阜県可児市では、外国人の子どもを一人も取り残さず学校につなぎとめる独自の取り組みを続けてきました。不就学ゼロはどのように実現したのかを追う番組です。 

人口の8%を占める外国人

可児市には岐阜県か最大の工業団地があり、90年代から外国人就労者を積極的に受け入れてきました。可児市の人口は今年8月現在99,629人、外国人はの今年1月現在8,089 人、外国人が人口の8%を占めています。
工業団地に隣接する市立蘇南中学校では、全校生徒900人のうち150人を外国人が占めています。
外国人生徒の中には、親が先に日本に来て生活の基盤を作り、後から呼び寄せられた生徒もいます。
小さなころから親と離れていたために、親との生活がしっくりしなかったり、フィリピンに帰りたいと考える生徒もいます。
またフィリピンでは小さな子どもを年長の子どもが世話するのが当たり前で、そのために学校を休むのも当たり前・・・。
日本と違う文化で育った外国人の子どもたちが、言葉も習慣も違う日本の生活・日本の学校になじむのは簡単なことではありません。

不就学ゼロを目指すの取り組み

来日した子どもたちが最初に通う施設は、「ばら教室」です。費用は無料、日本に早くなじめるように、日本語や日本の習慣・学校のルールなどを3か月かけて学びます。
「ばら教室」を修了すると、地元の小学校・中学校の普通学級に通うようになりますが、サポートは続きます。
その中心が「国際教室」です。入学から2年間、少人数での個別指導のカリキュラムが用意されます。

母国ならそれなりにできていたのに、日本語では何を聞かれているのかわからない。
何を話しているのかわからない、何が書いてあるのかわからない、状態になり、自分を「できない人」と感じ、自己肯定感をなくしていく子どもたちを支援する仕組みです。

年間8,000万円の予算投入

可児市はこうした取り組みを「子どもたちの未来への投資」と位置づけ、年間8千万円の予算を投入して支えています。
蘇南中学校には4人の通訳が採用され、母国語を異にする様々な生徒に対応しています。
登校しない生徒のもとに、通訳ボランティアの皆さんが電話を掛けます。
連絡の取れない生徒には、生徒指導の竹内幸正先生が授業の合間を縫って、1軒1軒出向きます。
学校に来ない外国人の子どもたちに、「国際教室」「通訳ボランティア」「生徒指導」様々な立場からアプローチし、子どもたちに寄り添います。

手厚い取り組みで、進学率も向上し、蘇南中では外国人生徒の8割が高校へ進むようになりました。
しかし、不登校や長期欠席がなくなったわけでありません。蘇南中でも毎年十人ほどの生徒が退学し学校から姿を消しているそうです。
それでも、可児市のこうした取り組みは外国人の子どもを受け入れるための重要なモデルであることは事実だと思います。

可児市がこうした仕組みを作ったのは、20年前の一人の生徒がきっかけでした。
言葉がわからない、授業に出ても理解できない、おもしろくない・・・。
こうした状況に家庭的問題も重なってか、非行傾向が強くなり、学校から離れて行ってしまった一人の少年です。
学校から離れてしまったのに、いつも校門の前で遊んでいました。
その行動を注意しに行った校長先生に、彼はこう言ったのです。
「先生、僕に勉強教えて」と。

学校に来ない外国人の子ども、非行に走る子どもだって本当は学びたいんだ!
こうした「気づき」が、可児市の取り組みを支えていることがわかりました。

9月議会の文教福祉常任委員会で、私は吉川市の外国人の就学状況・不登校の有無について問いました。
その時の答弁は、市に住民登録されていれば、学齢期の子どもには外国籍の子どもも含めて入学案内を送っているとのことでした。
しかし実際に学校に入学しているか、不登校の有無については調査していないとの答弁でした。
吉川市でも、まずは現状を調査するところから始めていただきたいと思っています。