なぜ個人事業主を除外するのでしょうか?~国保の傷病手当金~

2020年05月27日

報告するのが遅くなりましたが、5月14日(木)、吉川市の臨時議会で提案された議案の一つに、「吉川市国保条例」と「後期高齢者医療に関する条例」の一部を改正する条例(すでに専決処分で動き出している)がありました。
新型コロナウイルス対策の一環として、国保の被用者にも傷病手当を支給するという条例で、勿論私たち日本共産党吉川市議員団は賛成しました。
また、全員賛成で可決しました。
しかし、一部に疑問を残す条例改正というか国の施策です。
詳しくご紹介します。

健康保険の加入者が病気や怪我で会社を休み、十分な収入が得られなくなった時、「傷病手当金」が支給されます。病気休業中に、被保険者とその家族の生活を保障するためにつくられた制度です。
ただし、国民健康保険(国保)にはこの制度が適用されません。国保加入者には病気やケガをしたときの生活保障がなく、以前から問題視されてきました。

今回、新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の緊急対策の一つとして、国保に加入する被用者(事業者に雇用されている人)が感染(疑いも含めて)した場合、傷病手当金が支給されることになりました。感染(疑い)者が安心して休める環境を整備し、さらなる感染拡大を防止するためには、国保加入者にも傷病手当金が支給されるべきとの世論と運動が広がる中で、政府は100%国の負担で被用者に限定して傷病手当金の支給を決定しました。

しかし、政府はなぜ対象を被用者に限定するのでしょうか。そしてなぜ、個人事業主は除外するのでしょうか。
日本共産党の倉林明子参院議員は、3月26日の厚生労働委員会でこの問題を取り上げました。倉林議員の「自治体が独自に、自営業者やフリーランスに対象拡大することは可能か」と質問に対し、厚労省の浜谷浩樹保険局長は「市町村長の判断で可能」と答えました。
しかしこの答弁は、自治体の首長に判断と責任を押し付けたものではないでしょうか。
政府はこの間、「個人事業主」という働き方を推奨してきました。にもかかわらず、その方々への支援を拒む姿勢は納得できません。
また日本国憲法14条には「すべて国民は法の下に平等」と謳っています。「国民健康保険法」という同じ法律の下で、同じ「国保税」のシステムの下に税を払う国民の生活に、このような差別を持ち込むことが許されるのでしょうか。

政府は支援の対象を個人事業主や家族専従者、フリーランスにも広げるべきです。

そして市も、国の施策として全ての働く国保加入者に支援を広げるよう要望するべきだと思います。
個人事業主に傷病手当金を支給するかどうか。
感染予防の観点から考えたら、当然必要に決まっています。
その判断も、支給するかどうかの決定も、そして財政的負担も市町村に押し付けられたまま、国の判断に黙って従っていてはだめだと思います。
国の責任において、個人事業主の生活もちゃんと保障するべきだと主張していく姿勢が求められていると思います。

そうした姿勢で、市が国に発言していくことを、これからも求めていきたいと思っています。