ウィシュマさんはなぜ死ななければならなかったのか、徹底究明を

2021年09月24日

今日は9月議会の最終日。
私が提案した、「名古屋入管死亡事件の真相究明を求める意見書」が賛成多数で採択されました。
いつもは意見書の案文だけ読んで提案を終えるのですが、今回は入管庁最終報告書を読んで私が何を思ったのか、壇上でしっかりと話した方が良いとのアドバイスをいただき、お話させていただきました。

最終報告書は96ページにわたるもので、全部読むのは大変でしたが読みました。
私は看護師で人がどのように亡くなっていくのか、最期を見届けた経験もそれなりにあるので、報告書に書かれている状況はそれなりに十分理解できました。
そしてその中でも、本当に納得がいかないという問題がいくつもありました。

一番思うのは亡くなる3週間前、2月15日の尿検査の結果です。ケトン体3+ たんぱく質3+ 糖- という結果です。明らかな飢餓状態としか読み取ることができないデータです。
通常、ケトン体というのは検出されないものです。それが検出されるということは、体液のバランスが酸性に傾いているということで、絶対によろしくない状態です。
私も以前ひどい胃腸炎にかかり、とにかく辛くて受診したときにケトン体が+又は2+だったことがあります。
本当に辛くてたまらない状態でした。
普通なら急いで酸塩基平衡を改善させるべき状態で、大急ぎで血液検査などの検査と治療を受けるべき状態だと思います。
でも、ウィシュマさんは検査も治療も受けていません。
なぜこの状態が検査・治療につながらなかったのでしょうか。
それどころか、報告書を読むと「詐病」との認識で対応が続けられて行きます。

司法解剖の結果は、甲状腺炎及び甲状腺機能障害 により全身状態が悪化し、既存の病変を有する腎などの臓器不全が加わり死亡したとするのが考えやすいとしています。
確かに報告書を読むと、甲状腺機能障害と考えると記載された症状がとても良く理解できます。
報告書には、頻繁に?バイタルサイン(熱、脈拍、呼吸回数、血圧など)を測定し、「異常がなかった」というような記載があります。でも甲状腺機能障害を起こしていたのなら、バイタルサインに異常がなかったというのは腑に落ちません。何かのサインがあったはずだと思うのです。
「異常がなかった」とは言うものの、実際のデータを示してはいない最終報告書の記載内容を、にわかに信じることは出来ません。
こうした状況の中で、ウィシュマさんに出された方針は精神科受診でした。

亡くなる前日にはかなり衰弱した状態になっていて、ぐったりしていて、「あー」とか「うー」とかしか反応できないときもあり、バイタルサインが測定できないときもあり…、そんな状態でした。
報告書を読む限り、かなり尋常ではない状況にあったことが予測されますし、だからこそ職員も部屋の中から外から、頻繁にウィシュマさんの状態を見ていたのだと思います。
でも、誰も救急搬送に向けて動き出す人はいませんでした。
それどころか、飲料を介助されてもうまく呑み込めず、鼻から吹き出してしまったのを見て「鼻から牛乳!」と笑ったり、「薬、キマッてるの?」(二日前に処方された精神科の薬のこと)と言ってみたり、職員の対応には危機感が感じられません。
個々に貫かれているのは、人権の軽視、人命の軽視だと思います。

報告書には入管の医療体制を強化する必要があるというようなことが記されていますが、それ以前の問題として被収容者への人権意識が問題だと思います。
そこを改めなければ、同じ事故は繰り返されると思います。
しかし残念ながら、最終報告書にはそこが記されていませんし、記されていない事実に問題を感じます。

・・・私が壇上で話したことは、こんな内容です。
他にも言いたいことがいっぱいあったのですが、きっと質問されるだろうと思い、全部は話しませんでした。
残念ながら質問が出されず、思っていることを全部話すことができませんでした💦

こういう話をした甲斐があったのか、意見書は賛成多数で採択されました。
今回も公明党の3人、未来会議の3人の議員は反対でした。
なぜ反対したのかはわかりませんが、反対した方々の人権意識は問われると思います。

今回の意見書をまとめるにあたり、参考にさせていただいた安田菜摘さんのYouTube及び入管の最終報告書をご紹介させていただきます。