ジェンダー平等社会の実現を

2021年10月04日

昨日は、市民にやさしい昨日は市民にやさしいあったか吉川市を目指す会の学習会がありました。
テーマは『ジェンダー平等」、講師はなんと私です💦

ジェンダーギャップ指数120位の現実

今年の日本のジェンダーギャップ指数、世界156カ国の中で120位という非常に残念な結果です。
しかし残念なのは今年だけではありません。昨年は世界153カ国中、120位。今年とほとんど変わらない順位です。
特に経済面では117位、政治面では147位と世界の中で最下位に近い状況です。
日本って、先進国じゃなかったんでしょうか?
1~3位は北欧諸国、イギリス23位、アメリカ30位、韓国102位、中国107位。
今著しく人権が踏みにじられているミャンマーで109位。
117位ガーナ、118位ギニア、119位アンゴラ、121位シオラレオネ・・・。そういう国々と同じような順位です。

ジェンダーギャップ指数とは教育/経済/保健/政治の4分野で構成され、各分野で定められた内容を数値化して、得られたスコアをランキングしたものです。
日本は、経済分野 115位 教育分野 91位 保健分野 40位 政治分野 144位。
どの順位も決して高いとは言えませんが、特に経済分野115位、政治分野においては144位と世界最低レベルの状況です。

男女の賃金格差の是正を

経済面では男女の賃金格差の大きさと管理職割合の少なさが本当に深刻な問題です。

正社員で退職経験がない、つまり就職したときからずっとその職場で働き続けていても、男性の同期の68.7%、大卒でも男性の54.8%の賃金。女性の賃金は安く抑えられていて、生涯賃金で考えると1億円とも言われています。
こうした賃金の格差が年金の格差にも繋がり、夫亡き後の高齢女性の貧困の問題にも繋がっています。
コロナ禍では、特にシングルマザーの貧困が問題になりました。働く女性の56%が非正規雇用とのデータもあります。女性は初めから貧困になる様に仕組まれた状態に置かれています。
なぜならば外で働くのは男性、女性の労働はあくまでも補完的なものであり、女性の仕事は家事・育児だという固定観念がそこにあります。
日本の社会は、こうした固定観念に縛られたままにいます。

ライフイベントに関わらず自己実現を追求することのできる社会を

海外では、特に北欧の国々などでは、結婚や出産などのライフイベントに関係なく働き続けることができる状況が作られています。しかし日本では、ライフイベントを機に退職し、子育てが終わったら仕事に復帰するという構図が未だに続いています。
女性がライフイベントを機に職を離れ、女性の年齢階級別労働力率がM字カーブを描くのは日本と韓国だけです。
結婚しても、子どもを産んでも働き続けられる社会というのは、女性が結婚しても子どもを産んでも自己実現を追求し続けられる社会なのではないかと感じます。
それを実現するためには、女性が働き続けられる職場環境の整備がとても大切です。
管理職に子育てをしながら働いた経験のある女性が増えれば、そういう職場をつくることが可能です。
又、女性労働者を正職員として身分保障し、子育て支援制度をちゃんと使えるようにしていくことも大切だと思います。

意思決定の場に女性を

男女の人口割合は同じなのに、国会議員や地方議員などの意思決定の場の女性は極めて少ない・・・。国会議員で言えば、女性は1割にも満たない現状です。そういう国が、女性を大切にする国づくりを進められるはずがありません。意思決定の場に女性がよりたくさん参加できるようにすることは、とても重要なことだと思います。2018年に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が制定されました。
各選挙の候補者数をできるだけ男女均等になるようにすること、国及び地方公共団体は候補者数の目標を定めること、各政党は性別にかかわらず政治に参加しやすい環境を整備することが、この法律で求められています。
・・・???
それで女性候補者が増えるのでしょうか?
女性議員が増えるのでしょうか?
これはただの理念法に過ぎません。本当に女性議員を増やすためには、もっと何かが必要だと思います。それが何かは私にもよくわかりませんが💦

思い込まされてきた男女の役割分業

ジェンダーとは、「男性だからこうあるべき」「女性だからこうあるべき」と性別によって背負わされてきた役割分業であったり、関係性であったりを言います。しかしそれは社会的・文化的に作られたものです。
昨年報道された新聞記事が、それを如実に示していると私は感じています。

2018年、アンデス山脈で発掘された約9000年前の墓には、成人の骨とともに多種多様で見事な狩猟用の石器が埋葬されていたそうです。
発見した人々は、「彼はきっと優れたハンターで、集団の中でとても重要な人物だったにちがいない」と考えたそうで、当然ながらその骨は「男性」の骨であると思い込んでいたのです。しかし実はその骨は女性の骨でした。
そして、アメリカ大陸全域で発掘された同時代の墓の調査結果を見直した結果、大型動物ハンターの30~50%が女性だった可能性が明らかになりました。
これまで先史時代には男性が狩り、女性は採集と育児というのが通説でした。
私もかつて、『話を聞かない男 地図を読めない女』という本を読んで、ずいぶんと納得したものでした。狩猟生活に明け暮れる男性は話をするいとまがないし、狩猟をしない女性は地図が読めなくても仕方がないのだと。
しかしカリフォルニア大学のこの研究結果は、こうした私たちの思い込みを覆しました。
「男性だから、こうあるべき」「女性だからこうあるべき」ということは絶対になく、男性も女性もそれぞれに自己の希望に従って、その能力を存分に発揮しながら生きる権利があるし、そのような権利が保障される社会をつくらなくてはいけない。
それが今私たちに突き付けられている課題だと思います。