令和2年度吉川市歳入歳出決算への反対討論

2021年09月18日

17日は本会議で、市長が提出した議案に対する採決が行われました。
私は令和2年度吉川市歳入歳出決算に対し、日本共産党吉川市議員団を代表して反対の立場から討論させていただきました。

昨年度の決算の特徴は、なんといってもコロナ対策です。未知の感染症への対応と、感染症の影響を受け困窮する市民生活への対応、困難に直面する事業者支援など、戸惑い悩みつつ奮闘してくださった職員のみなさまには本当に感謝しています。その上で、いくつかの問題点を指摘させていただきました。

5回にわたる共産党議員団の要望書

新型コロナウイルス感染症対策について、私たち共産党議員団は昨年5回にわたり要望書を提出させていただきました。
3月30日に提出した最初の要望書では、雇用調整助成金や新型コロナウイルス感染症特別貸し付けなどの制度がわかりにくく、利用しにくいことから、ワンストップの相談窓口を設置すること及びPCR検査体制の充実、医療機関及び困窮する事業者への支援を求めました。
4月6日に提出した要望書では、発熱外来の設置及び医療機関への支援、困窮する子育て世帯への手厚い支援を求めました。
5月26日に提出した要望書では、学校再開にあたっての教職員への負担軽減、困窮する個人事業主等への手厚い支援、PCR検査センターへの発熱外来の併設で発熱した市民の受療権を保障すること、困窮する事業者支援などを求めました。
10月27日に提出した要望書では、新型コロナウイルスに関する情報の周知及びPCR検査体制の充実、困窮する事業者に対する市独自の支援を求めました。
更に今年1月4日に提出した要望書では、医療機関・社会福祉施設等の職員・入所者を対象とした定期的な社会的PCR検査、どうしても必要な方々に対するPCR検査の実施、市民が求める情報をキャッチしやすいようにホームページ等に掲載することでした。

市のコロナ対策はどうだったか

残念ながら、吉川市にPCR検査センターが設置されたのは5月下旬。発熱した方がどこに受診したら良いのかと路頭に迷う事態は年末まで続きました。市独自のPCR検査の拡充なども実施されませんでした。
市長は、市長と医療従事者、とりわけコロナ対策の最前線でご尽力いただいている医師会とが日常的・定期的に直接意見を交わし合い、現状や課題を分析し、対策を練るというような体制をつくり、コロナ対策にあたるべきだったと考えています。

私たち共産党議員団が実施した市民アンケートでは、「市のコロナ対策・情報提供への満足度について」の質問に、「満足」「ほぼ満足」と答えた方はわずか10.5%、一方「やや不満」「不満」は55.3%に上りました。
そして「やや不満」「不満」の理由について回答者の約半数が、「情報が少なくわかりづらい」との回答でした。残念ながら市のコロナ対策の情報提供は、市民にとって満足のいくものではありませんでした。

臨時交付金はどのように使われたか

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 6億4218万6000円の事業が行われました。
  • 消毒液やパーテーションなどの感染対策 7.8%、約7,000万円
  • 予防接種・PCR検査関連には4.8%の4,320万円、
  • 事業者支援は23,5%、2億1040万円
  • 低所得者・子育て支援関係 8.8%、7,826万円
  • GIGAスクール・IT関連 約46%、2億9,245万円

全国的に見ても、コロナ禍で最も進んだのはIT関連だと言われています。IT関連が進むことを否定するつもりはありません。
が、こうした交付金の使い方が本当にコロナ対策だったのか、市民のいのちとくらしを守るための使い方だったのかという点には大きな疑問を感じています。

困窮した市民生活を守るための様々な努力に感謝

困窮した市民生活を守るために、様々な努力がなされました。

国の事業としての「子育て世帯臨時特別給付金」・「ひとり親世帯臨時特別給付金」の支給、「ひとり親家庭等家計応援臨時給付事業」「新生児子育て応援商品券給付事業」「未婚児童扶養手当受給者臨時特別給付金給付事業」などの他、緊急子ども応援配食やこころとからだの安心相談なども取り組まれ、こうした事業については評価しています。

但し、こころとからだの安心相談については、2018年3月に策定された「吉川市自殺対策計画」の一番に掲げられた対策でした。コロナ禍の中で初めて実現されたということは、非常に残念です。コロナ終息後も、相談体制が維持されることを強く望みます。

公平な事業者支援策を

「対応事業支援補助金」「中小企業等支援金」などの事業者支援策も、高く評価しています。
一方、プレミアム付き商品券は販売方法についても市民から「納得がいかない」との声が寄せられました。
可能な限り感染リスクを抑えながら、消費喚起につながる取り組みとして検討されたとのことですが、全世帯を対象とするような、より公平な事業を検討するべきだったと考えます。

コロナウイルス対策以外の問題についても、いくつか指摘させていただきたいと思います。

まず1点目は市民税です。補正予算を組まれることのないまま、決算に計上されている金額が1億9,811万2,000円となっています。
補正予算に計上し、事業化して住民要望にこたえるべきです。

タクシー利用料補助事業の拡大を

昨年取り組まれた移動実態調査では、タクシー利用料補助事業の券対象外の市街地では、「交通手段がなくて困る場合があるか」の問いに、「困ることがよくある」「困ることはたまにある」が駅北の吉川地区で18.9%、駅南地区で23.2%です。
市民に対する施策の平等性、そして「誰ひとり取り残さない市政運営」のためにも市街地まで対象を広げるべきです。そして地域公共交通会議をつくり、吉川市に適応した公共交通施策を実施すべきです。

越谷吉川線街路整備事業負担金の問題

令和2年度の吉川市の負担金は1億5,279万9,900円で、これまで負担した総額は8億6,586万7,377円です。
県の決算額から見て3,500万円オーバーしています。
吉川市の負担割合は事業費の十分の一とされていますので、その計算で考えると1億4,300万円も多く負担していることになります。
常に負担割合などを試算しながら国・県に対して意見、具申するなどの対応をすべきです。

道路補修工事の問題

道路補修工事費の決算額は1億3,196万円ですが、元年度は2億円を超えています。前年度より7,000万円もすくなくなっています。
道路補修は市民の生活に大きくかかわり、要望が多い事業です。
市の答弁では、「金額ありきでなく、その時点で補修が必要な路線などを、その都度予算要求している」とのことでしたが、今年2月時点で担当課が補修が必要として認識している路線が33、延長が1万1,125mあります。
年次計画をたてて市民にも説明して実施していく姿勢が必要です。

関公園整備の問題

関公園の整備には約4千万円の費用を費やしました。
改修が必要とされたトイレや、住民要望から計画した砂場の設置などは実施されませんでした。
樹木の伐採、伐根に費用が掛かりすぎたという説明でしたが、当初の費用を含めた計画が杜撰だったと言わざるを得ません。
園路の舗装も、雨が降ると水が溜まってしまうような状況です。施行会社に補修させるべきだと考えます。

学校の体育館へのエアコン設置の問題

昨年度の資料請求でいただいた各小中学校の予算要望の一つに、体育館へのエアコン設置がありました。
文教福祉常任委員会での答弁では、この間教育については大変な予算をかけている状況もあり、限られた予算の中で優先順位を考えながら進めていくとのことでした。
しかし、災害時には避難所として活用されることからも、体育館へのエアコン設置が求められています。高温多湿な環境での体育の授業や部活動の実施は、子どもたちのいのちの関わる大問題です。緊急防災事業債の活用も期待できた昨年度、設置に向けて踏み出されなかったことは本当に残念です。

徴収事業に関する差し押さえの問題

税の徴収に力を尽くしていただいていますが、差し押さえの場合2回の督促状送付と、最後差し押さえ通知だけで差し押さえるのではなく、電話連絡、訪問等きめ細かな対応をすべきです。
滞納者にもそれぞれの事情があります。
その方が生活していけるだけのお金がちゃんと確保されているのかを確認しながら、慎重に進めるべきです。

私の反対討論、こんな感じでした。