吉川市令和5年度予算への反対討論

2023年03月16日

今日はこの間開かれた各常任委員会の審査結果を各委員長が報告し、3月議会に上程された議案の採決が行われました。
私は日本共産党吉川市議員団を代表して、来年度予算への反対討論を行いました。その一部をご紹介します。


子育て支援について。

昨年の出生数は史上初めて80万人を割り、加藤厚労大臣は日本の少子化を「危機的」であるとさえ表現しました。若者が安心して子どもを生み育てることのできる社会をつくることは、今を生きる私たち大人の重要な責務だと考えます。
代表質問で、私の質問に対し市長は「子育て支援と少子化対策は全く別物」だと言いました。そうでしょうか。
少子化の原因は決して一つではありません。子育てや教育費に多額のお金がかかることも、若者が安心して子ども産むことができない大きな要素の一つと言われています。確かにそれは国が責任をもって対策すべきことではあります。
しかし残念なことに、こうした課題に対して国が率先して素晴らしい対策を打ち出すことなどほぼありません。
どこかの地方自治体が始めた積極的な取り組みが全国に広がる中で、国もその成果を認めざるを得なくなり、ようやく制度化され、予算化される。それがこの国の福祉の発展の姿ではないでしょうか。
首長には、良い制度に積極的に取り組み、その成果をもって国に働きかけて国の姿勢を変えていく、そういう気概が必要だと考えます。
物価高騰にあえぐ市民生活、そして子どもの貧困などの社会問題を考えたとき、今全国に広がる学校給食費の無償化、18歳までの子ども医療費無料化に背を向ける中原市長の姿勢には残念ながらそういう気概が見られません。

吉川市教育大綱について。

文部科学省は教育大綱の対象期間を「4~5年を想定する」としています。吉川市の教育大綱は既に6年が経過しています。
中原市長が3期目を迎えるにあたり、吉川市教育大綱「家族を 郷土を 愛し 志を立て 凛として生きてゆく」の廃止を強く求めます。
子どもの貧困は未だに続き、虐待を受ける子ども、中でも親から性暴力被害を受けた子どもが全国でも次々と名のり出ているような状況さえある社会です。子どもは愛してくれることを求めるべき存在ではなく、私たち大人がひたすら愛すべき存在です。

憲法13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命・自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする」としています。
この意味は「あなたはあなたのままでいい」「ほかの誰かの権利を脅かすのでない限り、あなたは自由に生きて良い」「あなたには愛される権利がある」ということです。こどもにある一つの方向の姿勢を求める市の教育大綱は、憲法13条とは相いれないものだと言わざるを得ません。

もう一点指摘したいことは、この教育大綱が戦前回帰の印象を与えているということです。戦前の教育では今の道徳にあたる「修身」の授業などで、「良い日本人」としてあるべき姿を事細かに求めていました。
同一であることを求め、違う意見や見解・生き方を暴力や権力で排除して突き進み、内外に甚大な被害を生んだのがアジア太平洋戦争でした。憲法13条はそういう歴史的教訓の上にできた「個人の尊重」「幸福追求の権利」です。
市長は私の代表質問に対し「根本的な意見の相違」と述べましたが、市長は憲法を守る義務を課せられている側の一人です。
その点を十分自覚するべきだと思います。

介護予防について。

健康な状態から介護が必要な状態に変わっていく、その中間の状態「フレイル」を予防することにより、要介護状態になることを予防しようというのが今の介護予防の重要な考え方のひとつです。
フレイルの最初の入り口は社会とのつながりの低下で、それが生活範囲の縮小、意欲の低下、食欲の低下、体力・筋力の低下へと繋がり、それが要介護状態へと繋がっていくと考えられてます。
最も重視すべきは「いかに社会とのつながりを絶たないか」ということであり、高齢者の難聴は自ら社会とのつながりを諦めてしまう重要な因子のひとつと考えられています。
だからこそ今全国で高齢難聴者の補聴器購入費用を助成し、高齢者の社会参加を保障しようとする自治体が広がっています。
吉川市でも昨年3月議会に年金者組合吉川支部のみなさんが1,345名の署名を添えて請願を提出し、賛成多数で採択されました。
市民の願いに冷たく背を向ける中原市長の姿勢は、非常に残念だというしかありません。

職員管理について。

現在、会計年度任用職員のうち保育士18名が正職員と同じ勤務時間で働いています。保育所で働く保育士のうち正職員は24名、会計年度任用職員は35名です。会計年度任用職員のうち半数以上が正職員と同じ勤務をしながら正職員よりも安い給与で働いているという現状、非常に問題です。
正職員化を図るべきです。

最後に。

3期目を迎えた中原市長に、一言申し上げます。
選挙戦に勝利し市長に就任した以上、市長は市民みんなの市長です。
選挙戦で対立して戦った市民も、選挙で白票を投じた市民も、選挙に行かなかった市民も含め、みんなの市長です。
それは決して、家父長的な意味ではありません。
反対派や市長が好まないタイプの考え方をする人々、あらゆる市民の声に真摯に耳を傾け、粛々と、誠実に地方自治の本旨である住民福祉の向上に努める市長であってほしいと心から願い、令和5年度吉川市一般会計予算への反対討論とします。


この願いが通ること、願ってやみません💕