地域包括ケアシステム

2021年08月12日

母が入所している老健施設から、今後のことを話し合いたいとの連絡を受け、岐阜に来ました。
入所が長期化しているので、そろそろ出なくてはなりません。

老健施設はもともと、「介護を必要とする高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すため」の在宅と病院の中間のような位置づけの施設です。自宅に返すことが前提の施設なのです。
母が入所した4年ほど前は「長期化しても特養に入れるまでは仕方ないよね」というようなことを言っていただき、長期入所前提のような形で入れていただきました。
特養の入所待機者が膨大な状況の中で、老健施設の「特養化」=長期入所者の増大が問題視されてはいましたが、「特養が足りないのだから仕方がない」という感じで・・・。

しかし最近はこうした老健施設の「特養化」が問題視されていて、どれだけ在宅に復帰させているかによって施設の収入に大きく差がつくような仕組みが作られています。50%以上・30%以上・30%以下のどれに当てはまるかによって、入所費用の単価が違うのです。50%以上在宅に帰さないと、経営が大変なんだと思います。
施設も経営を守るために必死なんだと思います。

特養は特養でやはり大変で、

  • 要介護4・5の人が入所者の70%以上を占めているかどうか。
  • 認知症生活自立度Ⅲ(着替え、食事、排便・排尿が上手にできない・時間がかかる、やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声・奇声を上げる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為等)の症状のある人が65%以上いるかどうか。
  • 痰の吸引や経管栄養を行う必要があるご利用者が15%以上いるかどうか。

こうした条件に加算がつけられるようになりました。
逆に言えば母のように要介護3で認知症がないか、あっても重くはない。そして医療依存度も高くないといった「普通の高齢者」は入所対象から外された感があります。
昨年入所申し込みをした特養があるのですが、老健施設から退所を求められていることも伝えた上で改めて入所相談をしましたが、要介護3で待期期間が1年程度で入れるはずがない・・・というような回答でした。
母は岐阜の田舎で死ぬことを希望していましたが、もうそんなことは言っていられない状況です。

今日は他の特養にも入所の申し込みをしたり、ケアマネさんに相談に行ったりして過ごしました。
そこで分かったことは、母の入所している老健施設は経営の立て直しのために今本当に必死で、同じように長期入所の方々が退所を求められていて、あちこちの特養に入所申し込みをしているということ。
中には次の行き先も決まらないのに退所日を決められてしまっている人もいて、本当に大変な状況だということがわかりました。
母の場合、退所日を決められるところまでいっていないだけ、まだ良いような・・・💦

ケアマネさんからは、母の願いを叶えたいなら有料老人ホームに移るしかないと言われました💦

地域包括ケアシステムは「年をとっても、介護が必要な状態になっても、住み慣れた地で最期までその人らしく」を支援する仕組みを2025年までに整えようと謳っています。
今はもう2021年。
「地域包括ケアシステム」がそれなりに整備されていても良いような時期だと思います。
が、現実には全然なのだと実感します。
お金がないので有料老人ホームにも入れないし、サービス付き高齢者専用住宅もあるにはありますが、やはり入所費用がとても高く、母の年金では無理です。

午後は母に本当に久しぶりに会いました。
ガラス戸越しでしたが・・・。
90歳を過ぎた母はとっても小さくなっていて、母の姿を見た瞬間涙が溢れました💦
吉川に行こうと話すと、「ここにいたい」と言って涙を流していました。
しかし、もうこれ以上ここにはいられないこと、吉川に行けばコロナさえ落ち着けば、大好きな孫やひ孫に会うチャンスが増えることを話して、何とか納得してもらいました。

今回は吉川に母を連れて行こうとの思いを込めて岐阜に来ましたので、描いた通りの結論に導くことができ、ホッとしています。
が、本当のそれで良いのでしょうか?
90歳を過ぎた母を、岐阜から埼玉まで約6時間程度かな?その道のりを移動させること、それから使い慣れた方言の通じない、文化の違う地に連れて行くこと、そこで最期を迎えさせようとしていること。
吉川に連れて行けば、おそらく葬儀も吉川であげることになると思います。
田舎では、実は元隣の家の一家?が葬儀屋さんを経営していて、母はそこで葬儀をあげたいと望んでいます。
そうした願いも全部断ち切って、母の最期を私の都合の良いように決めてしまうことにとても心が痛みます。
重いモヤモヤした気持ちが晴れません。
大好きな田舎の景色が、今日はとても色褪せて見えます。