映画『時の行路』上映会

2021年07月20日

昨日は越谷市民会館で、映画『時の行路』の上映会が開催されました。

午前・午後・夕方と3回の上映。
猛暑とコロナ感染の不安が広がる中でも400人以上の方が来場してくださいました。

リーマンショックの嵐が吹き荒れる中で行われた「派遣切り」。
突然の事態に多くの派遣労働者が路頭に迷いました。
弱い立場の人ほど、時代の嵐の中で厳しい状況に追いやられ、たちまち困窮してしまう・・・。
今のコロナ禍でも、まさに同じことが起きています。
そうした中で労働組合に参加し、裁判に訴えて戦う労働者たちを描いた映画です。

いすゞ自動車で起きた、実話とのことです。
「同じ仕事をしているのに、要らなくなったらポイはないじゃないですか!」
「勤労の権利と義務を保障した憲法に則って、高等裁判所が正義の判断をされることを、私は切に願ってやみません!」。
こうした原告の訴えがいとも簡単に退けられ、最高裁でも棄却されてしまいます。
同じ仕事をしながら、「正社員」と「非正規社員」という形で労働者を分断し、非正規社員を会社経営の安全弁として使い捨てにする。
その人たちがどんなに困窮し、追い詰められるかは意に介さない。
そういう働き方があたかも本人が自ら選択したものであるかのように、「自己責任」の理論が持ち込まれる。
このような雇用の在り方は、働く権利だけでなく、その人が健康で文化的な生活を送る権利や幸福を追求する権利までが侵害されていると感じます。
こういう雇用の在り方を許している今の社会は、とても健全とは言えない社会だと感じます。
そういう意味で、とても苦しい映画でした。

なぜこの裁判が敗訴なのか、正直わかりません。
一緒に裁判を起こして戦ったメンバーの一人は、一審の判決直後、退席する裁判官に向かってこう叫びました。
「裁判所って、弱い立場の人が困った時に駆け込む場所じゃないんですか!?」。

本当に。
弱い立場の人が救われない、困窮した人々が放置される。
そういう社会で良いのかと、心から思います。
実は割と最近知り合った方で、まさにリーマンショックの氷河期に就職を迎えた方がいらっしゃいます。
正社員で採用される予定だったのに、急遽期間社員としての就職に変更されてしまったそうです。
以後、その方はずっと非正規雇用で働いてきました。
コロナ禍の中で非常に困窮し、追い詰められました。
もし、就職した時期がリーマンショックの氷河期でなかったら、その人はそのまま正社員で今も働いていたのではないかと思います。
正に企業の安全弁として使い捨てにされ、その結果として正社員としての再就職が困難。

同じようなことが、今の社会のあちこちで起きているのだと感じます。