補聴器助成制度の創設はフレイル予防の大前提

2023年03月05日

3月1日に行われた、市長の施政方針に対する各会派の代表質問。

次にお伝えするのは、補聴器納入費用助成制度の創設を求めた質問に対する市長の答弁です。

施政方針には「いきいき暮らせる高齢者福祉の推進」として、「介護予防や健康づくりに取り組み、健康寿命の延伸を図るため、脳活ドリルの発行や地域型介護予防教室及び運動教室の開催、民間事業所プールを活用した通所型サービスの実現に取り組む・・・(中略)・・・筋力量の低下など心身状態を把握するためのフレイルチェックを実施してまいります」と書かれています。

フレイルとはこれまでも何度かお伝えしていますが、要介護状態に至る前の心と身体の弱くなってきたとき(虚弱)の状態を言い、フレイル予防とは虚弱になることを予防しようという考え方です。

少し前までは足腰の衰えが閉じこもりの生活を招き、それが食欲の低下や意欲の低下へと繋がり、そして認知症などの要介護状態につながると考えられていました。

しかし要介護状態になる前の状態について東京大学などを中心に詳しく研究する中で、最初に訪れるのは社会との隔絶だということが分かっています。

フレイルの一番最初に訪れるのは社会とのつながりの低下です。

退職や大切な家族・友人の死別、骨折などで外出ができなくなるなどで生活範囲が狭まり、社会とのつながりが薄くなると精神的にも不活発になり、そうすると食欲が低下したり口腔機能も低下して栄養状態が悪化し、そして身体状況も低下していく。それがやがて要介護状態へと繋がっていく・・・。

東京大学の大規模な調査研究結果なども踏まえ、今はそのように考えられています。

https://kaigo.homes.co.jp/tayorini/gerontology/005/
https://kaigo.homes.co.jp/tayorini/gerontology/005/

高齢者の難聴は社会との繋がりを保つうえで、重要な問題だと思っています。聞こえなければ何度も聞き返すのも申し訳なく、ついつい聞こえているふりをして曖昧な対応をしてしまったり、そういうことが負担で今までの付き合いから何となく身を引くようになってしまったり。
最近私も、そういう気持ちがわかる年頃になってきました。
聞こえないということは、自ら社会から離れて行ってしまう重要なリスク要因だと思います。
だからこそ今、全国で補聴器購入費用を助成し、高齢者の聞こえを保障しようとする自治体がじわじわと増えてきているのだと思います。

私は今回の代表質問で、まずは高齢者を社会から切り離さないための本気の施策への認識を問いました。そして更に補聴器購入費用助成制度の創設について市長の考えを問いました。

市長は「高齢者が地域や社会と繋がりを持つこと重要であると認識している」「人と社会との繋がり方は様々であり、地域や市民活動が繋がりの受け皿となっていただくことが最も大事であると考えている。引き続きオレンジカフェや男性のための料理教室、老人クラブの活動支援、老人福祉センターの機能充実などにより高齢者が地域や社会との繋がりを持つ機会の向上に努める」と答えました。
しかしそのあとの答弁は?????????でした。
「補聴器購入費用助成制度の創設については昨年の9月議会一般質問でも質問していて、代表質問にはそぐわない」、市長はそう述べたのでした(@ ̄□ ̄@;)!!

私は高齢者を社会から切り離さないための施策をどう考えるのか、その要である補聴器購入費用助成を視聴はどう考えているのかを聞いたのです。
補聴器購入費用助成制度の創設は昨年3月議会に年金者組合のみなさんから請願が出され、賛成多数で採択された市民の願いでもあります。市民の要望に対し、市長はどう応えるのかを問うた質問でもありました。
市長はこの質問が代表質問としてふさわしいのかどうか見解の相違としか言いようがないとして、フレイル予防の要の施策をどう考えるのかは答えませんでした。そしてまた市民の要望にも背を向ける、全く冷たい答弁でした。
市長は感情論で議会の総意を無視して補聴器購入費用助成制度の創設を考えず、施政方針にフレイル予防を挙げながらもその根本対策に背を向ける・・・。甚だしく矛盾した態度だと思います。