『医の倫理と戦争』上映会開催
昨日は5towns Peace Projectのみなさんと、映画『医の倫理と戦争』上映&スペシャルトークセッションを開催しました。
会場の吉川駅すぐ隣、視聴覚ライブラリー4階多目的室は収容人数70人のお部屋です。60人の参加を目標に参加者を募り、66名の方が申し込みをしてくださいました。
体調を崩してこられなかった方もいたようですが、盛況でした。

この映画を観たのは3回目で、今回新たに気付いたこともいくつかあったのですが、それはまた改めてお伝えすることにして、トークセッションについてお伝えしたいと思います。
登壇したのは映画にも登場している、劇作家で精神科医のくるみざわしんさん。そして私のパートナーでもある、精神科医の雪田慎二さんでした。
二人のトークはとても興味深いものでした。
まず、何故この映画をつくったのかというお話。
映画にも登場し、この映画の企画者でもあり、ホスピスクリニックを経営する伊藤真美医師は、最近のがん治療の変化に危機感を抱いているそうです。
国の医療費削減の政策の中で、まだ治療の余地のある方がホスピスに送られて来る。ホスピスでがん治療をすると、もちろん治るわけではないけれど元気になる。
国の政策に従って、国の言いなりの治療しかしない医師ばかりになっていったら、どうなるのか?
もし戦争が起きても、医師たちは反対できないんじゃないか?そんな問題意識からだったというお話しでした。
そして医師たちが国策の言いなりになって行った悪魔の所業、731部隊。
そこでは捕虜たちを「マルタ」と呼び、ペスト蚤の増産や、捕虜をペストに感染させたり、およそ人間の所業とは思えない、信じがたい人体実験が繰り返されました。
映画の中にはその所業を「データが採れたのだから良かった」「医学の進歩に役立った」と肯定的に語る元731部隊の隊員が登場します。
その隊員一人ひとりは本当に悪魔だったのか?実は家に帰ると善良なおとうさんだったり、息子だったりする。それをどう考えるのかというお話。
外では良い顔をしている医師でも看護師でも、強い力を与えられると悪い方に行く人が結構いる。
何をしても咎められないことがわかると、何でもする。止める力がないとずり落ちていく・・・。
外でいくら良い人でも、仕事となれば何でもやる。
そもそも医療従事者は注射をしたり、鼻や口などにチューブを挿入したり、普通はできないことがやれるようになってしまう。
「人の嫌がることをしてはいけない」というモラルが壊れていく。
普通の人が持っているモラルを崩されていく。
これは倫理観を身に付けるだけではだめで、ちゃんと振り返りながら自分を余程しっかりと制していかないと、そうなる。医学生は大学で一度も「倫理」について習っていないというお話しも、印象的でした。
この映画のアフタートークで、必ずくるみざわさんがお話ししているという3点も深く納得のいくお話でした。
❶ 患者から名前をはぎ取ってはいけない。 731部隊は捕虜を「マルタ」と呼び、「素材」「材料」として扱った。
❷ その人のデータは必ずその人の利益になるように使用するべき。これを踏み越えているのが731部隊。 「データが採れたから良かった」は大間違いで、医学の前身ではなく後退だ。
❸ 医療に「絶対」はなく、医療はとても弱いもの。
くるみざわさんは働き始めた当時、先輩医師から「治療には手ぶらで行きなさい」と教えられました。これは物理的に何も持たないというだけではなく、思い込みとか偏見とか全て含めて「手ぶらで行け」という意味だと思います。
731部隊は背中に「大日本帝国」を背負っていました。強い力を背負うことは、医療にとっては非常に危険なこと。
・・・これはこれまでに起きた、数々の特に精神医療や介護などの現場で起きた虐待や事件を見てもよく理解できるお話だと感じました。
映画を観るだけで終わらず、アフタートークをすることでより一層理解が深まることを改めて実感したトークセッションでした。
ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。5towns Peace Projectのメンバーのみなさんとこの企画に取り組めたことにも、感謝です。登壇してくださったくるみざわしんさんとパートナーの雪田慎二さんに、スペシャルありがとうです。
