在宅介護従事者の安全対策を

2026年09月29日

9月議会一般質問で私が取り上げた問題のもう一つは、在宅介護従事者の安全対策でした。

今年6月2日、川口市でケアマネジャーがご利用者の家族に殺害されるという痛ましい事件が起こりました。この事件を受けて厚労省は6月3日、事務連絡「介護支援専門員等の在宅介護従事者の安全確保の徹底について」を発し、「複数人で訪問する場合の人件費・交通費を補助する制度」を新設。埼玉県は7月31日「居宅介護支援事業所等における複数訪問費用補助金」を開始しました。
厚労省の通知では都道府県及び市町村に「関係機関と連携して、必要な対策を積極的に講じる」よう求めています。市の対応を問いました。
市は「地域ケア会議やケアマネサロンなどの機会を通じて、個別の困難案件等について関係機関との情報共有と連携に努め、事件や事故の予防に努める」と答弁しました。

県の補助金交付要領には「事業期間は概ね3か月」と記されています。しかし3か月で解決する困難事例がそうそうあるとは思えません。
私自身もかつては訪問看護やケアマネとして働きましたが、人間を相手にする現場は決して単純ではありません。
気に入らないことがあると我を忘れ、どこででも杖を振り回して暴れる人を受け持った時、もしヘルパーさんに杖を振り回して殴り掛かったらどうしようかと、ずっと不安でたまりませんでした。
私はその人には相当厳しい接し方をしましたし、多分私に殴り掛かることはないだろうと思っていましたが、それでも心の底ではずっと不安でした。
96歳のお母さんがもしも死んだら私が所属する法人が殺したと、あちこちに張り紙をしてやると言った方もいました。お母さんが死にゆくことが受けとめきれず不安な気持ちを理解することはできましたが、本当に亡くなった時どうなるか、近い将来亡くなるのは間違いがないだけに本当に不安でした。
家庭の中に常に暴力と虐待があるご家庭の方を受け持った時は、同僚からもうこれ以上訪問しなくていい、あなたの身が危ないと何度も言われました。
どの事例も亡くなるまで数年間、私自身も職場としても不安を抱えながら支援をし続けました。
それは変わってもらえる事業所が他になかったからでもあり、もし私たちが見捨てたらたちまちその方の生活が立ち行かなってしまうことが明らかだったからです。
「見捨てるわけにはいかない」。
恐らく多くの事業所で困難事例を抱え、大いなる不安を抱きつつ見捨てることもできずに息長く関わり続けているのではないかと思います。
「3か月で解決する」よう求めるのはとても乱暴で、現場を全く知らない発想だなぁと残念に思います。
市の見解を質問したところ、
市は「個別具体的な事例は様々であり、ケアマネ一人で抱え込むのではなく、事業所内で是非共有して問題解決に取り組んでいただきたい」「地域ケア会議やケアマネサロンには職員も参加しており、相談に乗ったりアドバイスをしたりしながら事件、事故が起こらないように努めたい」と答えました。
ただ本当に職員が相談に乗ったりアドバイスをするのなら、在宅や福祉の現場に熟練した職員の配置が必要だと感じました。そういう職員が配置されているのかどうか、今後確認していきたいと思います。

埼玉県は被害防止のため、物品購入費補助制度を独自に創設しました。具体的にどのような物品が購入されているかを問いました。ボイスレコーダーや防犯ブザーの他、防刃チョッキ子購入した事業所もあるとのことです。
防刃チョッキは普段から着たりはしないでしょうが、もいかしたらボイスレコーダーや防犯ブザーは常日頃から持ち歩く事業所もあるだろうと想像します。
信頼関係を築くべき利用者やご家族と対峙するとき、そうした身を守る道具を忍ばせながら対話をして、本当の信頼関係は生まれるだろうかと正直不安を感じます。
何かあった時に防除するための道具を身に付けることよりも、何も起こらないようにコミュニケーション技術や危機管理力をどう高めるか、そこを追求することがずっと大事な気がします。

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