『蕾のままに散りゆけり』

2026年10月24日

「なんちゃって入院」をしていました。別に体調が悪いわけではなく、ただの検査入院です。
このところずっと忙しく本当に休む暇もなかったので、ちょっとした休養を取ることができました。
本当はパソコンを持ち込もうかと思ったのですが、せっかくの時間なので読書三昧を楽しむことにしました。
そして読んだ1冊が、『蕾のままに散りゆけり 対馬丸から生還した教師の魂を娘が辿る』(上野かずこ著 悠人書院)でした。

1944年の沖縄。
サイパン陥落後、沖縄近海では多くの船がアメリカの潜水艦に攻撃され、海は危ないという認識だった。
しかし沖縄を要塞化しようとしていた日本政府にとって、足手まといとなる住民を疎開させることは必要不可欠だった。特に学童疎開は次代の戦力確保のため、重要事項とされた。
降って湧いたような疎開事業が一気に進められることになった。
小学校の教員として、疎開を渋る子どもたちの家々を訪ね、説得に当たった著者のお母さん。
「先生が一緒なら」と疎開に応じた親も多かったというのに、対馬丸はアメリカの潜水艦ボーフィン号の攻撃を受け、敢えなく沈没。
対馬丸には学童784人を含む1788人が乗船。死者は1484人,生存者は280人で、そのうち学童は59人のみ。

お母さんは何日かの漂流を経て救助されましたが、先生を信頼して疎開に応じてくれた親御さん達に顔向けできない、「誰にも見られないあの地平線の下で暮らしたい」という思いを抱え続け、沖縄に帰ることはできませんでした。
その胸の内を想像するといたたまれず、泣きながら読みました。

対馬丸を撃沈したボーフィン号は、今ハワイ、パールハーバーの戦争資料館に展示されているそうです。
今までハワイにはあまり関心がありませんでしたが、パールハーバー、行ってみたくなりました。

この本を買ったのは、多分2年前です。
対馬丸事件の生存者を おじいちゃんに持ち、おじいちゃんから聞いた話を題材にして映画『満天の星』を製作した俳優の寿大聡さんをお招きした「平和のための吉川・戦争展」を開催したのが一昨年8月。
その年は偶然にも、市の平和のつどいに寿大聡さんが招かれていました。
そして公開された寿大聡さんの映画『満天の星』は昨年9月と今年8月、2回観ました。
寿大聡さんのお話を聞いてすぐに、この本を買いました。
なかなか読む機会がなかったのですが、漸く読むことができました。
たまには入院もいいなぁと思う私です(笑)。

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