「もの言う自由」は「もの言う人」がいてこそ生きる

2026年06月03日

少し前の話になってしまいましたが、5月16日、埼玉弁護士会さん主催の学習会に参加しました。
テーマは「『スパイ防止関連法』を問う~私たちのプライバシーと民主主義を守るために~」で、Facebookで知り合った同郷のお友だちで大垣警察市民監視事件の当事者でもある船田伸子さんが遠路はるばるお越しくださり、事件について話してくださいました。
船田さんのお話をどうしても聞きたくて、参加しました。
ちょっと長くなりますが、まとめてみました。

大垣警察市民監視事件とは? 

中部電力が大垣市の山中に風力発電所の設置を計画し、2012年11月、子会社のシーテック社が測量のための立ち入り調査に向けて地元説明会を開催しました。
2013年6月、地元住民は風力発電について学習会を開催しました。この事実が新聞に掲載されました。
記事を読んだ大垣警察警備課はシーテック社に声を掛け、「風力発電を妨害する動きがある」と学習会に参加した住民4人の実名を挙げました。
4人が一つのグループのように情報提供されましたが、4人には特に強いつながりはありませんでした。2名は風力発電建設地住民(反対運動)当事者でしたが、船田さんともう一人の方はただ学習会に参加したに過ぎませんでした。 
シーテック社は4人に着目し、4人の動向を注視するようになりました。そして得た4人の情報を警備課に提供。警備課とシーテック社が4人について意見交換していました。
シーテック社は議事録を作成し、社内決済を受けていました。
この密談を問題視した何者かが朝日新聞記者に議事録を提供し、朝日新聞はこの記事をスクープしました。
4人は県と国(警察庁)を被告に、国家賠償と個人情報収集・利用の差し止めを求めて裁判を起こしました。
一審では警備課の情報収集・保有は適法、シーテック社への提供は違法とされ、双方が控訴。二審の名古屋高裁は警備課の収集も違法とし、裁判費用と賠償金100万円の支払いを命じましたが、国の責任は認めませんでした。

何が侵害されたのか?

 船田さんは2014年4月、Twitter(現X)に、「昨年8月に被災地福島を訪ねて以降、自分ではどうしようもない無力感・脱力感に悩んできた」旨を投稿しました。
警備課とシーテック社の第3回意見交換会では、反対運動が船田さんから全国に広がっていく懸念とともに、Twitterの文面から「現在船田は気を病んで入院中。即次の行動に移りにくい」「今後過激なメンバーが岐阜に応援に入ることが考えられる」などと情報提供されました。 

この事実に対し警察は「自分から体調のことを発信しているから、プライバシー侵害にはあたらない」と主張。
また実際に被害の実態がなく、船田さん自身も自分の何が侵害されたのか、何が被害だったのか、実感がありませんでした。後になって「足を踏まれて、『痛い』と思っても思わなくても、『被害』はあるのだと気付いた」と話しました。

保護されるべき原告の権利 

高裁判決文には、以下の点が書き込まれました。
詳しくは「もの言う自由を守る会」ホームページに掲載されています。

  •  何人も個人の私生活上の自由の一つとして、少なくとも個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有している。
    個人情報の収集及び保有についても、個人の私生活上の自由を侵害するようなものは許されない。
  • 憲法13条「すべて国民は個人として尊重される」は、個人情報の収集・保有がみだりにされない自由も保障している。
  • 個人が発信した事故の情報を公権力が広く収集・分析することが、自由な情報発信に対する事実上の制約に繋がり、憲法で保障された表現の自由(21条1項)や内心の自由(19条)に対する間接的な制約になる。

国家情報会議設置法が成立 

5月27日参議院本会議で、インテリジェンス(情報収集・分析)の司令塔機能を担う「国家情報会議」設置法が自民・維新・国民民主、公明、参政党などの賛成で成立しました。
共産党をはじめ立憲民主・社民・れいわ新選組は反対しました。情報機関の権限強化に伴い国民監視強化、憲法が保障する表現の自由やプライバシーの権利が侵害される懸念があります。 

船田伸子さんは「警察が企業を情報収集に使っている。大垣の事件は氷山の一角。全国で当たり前に行われている」と話しました。
スパイ防止法・インテリジェンス機能の強化は、違法とされた情報収集(監視)・保有・提供が国家レベルで合法的に行えるということであり、その目的な何なのか。「もの言う自由」は「もの言う人」がいてこそ生きるが、今その危機が迫っているとの船田さんの言葉がとても意味深く、心に響きました。

船田さん、遠くからお越しくださりありがとうございました(⋈◍>◡<◍)。✧♡ 

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