『大義の末』
2026年07月25日
息子のことは常日頃から、世界で一番気が合う異性だと思っています。その息子が「この本を読んで見方が変わった」と言うので、これは読んでみなくてはと思い読みました。
『大義の末』(城山三郎 角川文庫)。

息子は城山三郎を10冊くらい読んで、その後この本を読んだら城山三郎はこれを言いたかったのか!!と心から深く納得したそうです。
私は城山三郎の作品は一つも読んだことがなく、初めて読みました。でも、こういう気持ちで社会と向き合ってきた人だったのかということはなんとなくわかった気がします。
昭和2年生まれ。
軍国教育を受け、杉本五郎中佐と言う人が書いた『大義』という本を胸に思春期を過ごした青年。
予科練志願を反対した父は徴用され、「陛下の恩為、命を捧げる」とあいさつをして出征し、戦死。
予科練での訓練中、暗闇の崖を這い上がる訓練中友だちと激突。お互いに菊の紋章の入った銃を守るために負傷し、友人は間もなく死亡。
そして原爆投下。
敗戦・・・。
その後の人生をどう生きるのか。
葛藤し続ける主人公。
『大義』は胸から消えない。
しかし時代は変わっていく。
天皇は戦犯に問われるかと思いきや、日本の新たな再軍備を国民に納得させるために利用されていく。
戦争中上手く立ち回っていた人は、戦後もうまく立ち回る。
もう少し若い世代は、そこまで軍国主義に人生を翻弄されてはいない。
天皇をどうとらえたら良いのか、新たな時代をどうとらえたら良いのか、苦悩し、苦悩し、苦悩する。
そんな姿が描かれていました。
200ページ程度の文庫本なのですぐに読めると思ったら、重たくて苦しくて、なかなか苦戦してようやく読み終わりました。
読み終わっても全然スッキリしません。
昭和一桁世代の苦悩のほんの一部を垣間見た気がします。
