靖国神社・遊就館に行ってきました

2021年12月02日

今日は「慰安婦」問題とジェンダー平等ゼミナール主催のフィールドワーク、靖国神社・遊就館とけいしょう館に行ってきました。

靖国神社に行ったのは2度目で、初めて行ったのは25歳の時でした。
その年の1月、私は名古屋から東京に出てきてこちらでの生活を始めました。
その夏、私の様子を見に来た母が行きたいといったのが靖国神社でした。
母の兄が戦死しているので、母にとっては大切な場所らしく、鳥居をくぐったとき感慨深そうに声を出して泣いていたのが印象的でした。

遊就館で今日私が感じたのは、違和感でした。
入り口で説明をしてくれた若い職員さんは、ここには「日本人が決して忘れてはならない心がある」というような話をされました。
だけど、「日本人が決して忘れてはならない心」って一体何でしょう?
辛く苦しい戦争があってこそ、今の平和な時代がある。それはよくわかります。
だから戦争で辛く苦しい思いをされた方々、命を落とした方々、アジア諸国の人々に与えた辛苦や奪った命を私たちは常に学び、胸に落とし、同じ過ちを二度と繰り返すことのないように常に戒めていかなくてはいけないと思っています。
それが「日本人が決して忘れてはならない心」じゃないかと思います。
遊就館はそういう立場とは、少し違うように感じてしまいました。

例えば日露戦争はロシアの不誠実さ・横暴にさすがの日本も耐え切れず、「我慢の限界に達した」というような表現がされていました。
我慢の限界に達したら、国民を巻き込んで戦争に突き進んで、そして多くの命を奪って良いのでしょうか?
戦争の中で自決を余儀なくされた若者、死を予見しながら戦いに臨まざるを得なかった若者たちの遺書もたくさん展示されていました。
でもその展示は「尊い」といった感じでの展示であって、決して「同じ過ちを繰り返してはならない」という思いを込めての展示には感じられませんでした。
もし私がその時代に生きていたとしたら、徴兵制によって息子たちが戦場に送られ、そこで命を落としたとしたら・・・💦
とても「尊い」という言葉で終わらせることのできない、この先自分が生きていくことすら考えられないような深い悲しみの底に沈むと思います。
そういう国民の悲しみや苦しみを表現する展示ではなかったようにしか思えません。

NHKスペシャルでも戦争は繰り返し取り上げられ、様々な角度から「あの戦争は何だったのか」と分析をしています。
とても良心的な番組が多いと感じます。
同じ過ちを繰り返してはならないという立場に立ったうえで、報道されていると感じます。
遊就館で感じたのは戦争賛美、戦争で命を落とした英雄たちを讃える一方で戦争への反省は感じられませんでした。
海外から靖国神社が「日本軍国主義の象徴」と見られ、首相をはじめ政府の要人が参拝することが問題視される理由がとてもよくわかりました。

そうは言っても、参道の銀杏並木はとてもきれいでした。