食の安全の農業を守る学習会

2021年08月09日

今、農地の集約化・法人化、そしてIT化が進められています。大規模経営にして「儲かる農業」を目指す・・・、そんなことが言われています。
勿論、農業がもうかる職業になることに異論はないし、省ける手間を省く、そのためにITを持ち込むことがいけないと言うつもりはありません。ただ、大規模化して本当に食の安全を守れるのかということに疑問を感じていました。大規模にすれば管理が大変なので、強い農薬を使い、強い除草剤を使うようになるというのがとても自然な原理だと感じるのです。
美味しくて安全な米や野菜をつくるということと、どうしても相いれないことのように思えてなりません。

一昨日、日本共産党埼玉県委員会主催「総選挙勝利〝食の安全と農業を守る"学習決起集会」にオンラインで参加しました。
講師は岡山大学名誉教授 小松泰信さん。その他にも、農業に従事している皆さんからも実践者ならではの貴重なお話がたくさんありました。
日ごろから感じていた疑問について、改めて深く考える機会となりました。
「農業に魅力がない」という言葉を、最近よく耳にします。また、農業従事者が高齢化していて後継者がいないという問題があることも事実だと感じています。
だけど、農業の魅力を失わせているのは誰なのか?どうしたら、魅力ある農業になるのか?そこが問題なのだと思いました。

「土地・労働力・資本」という「生産の3要素」を第二次産業・第三次産業に提供してきた第一次産業=農林水産業が、強くなれるはずがない。強くなることを求めるなら、「生産の3要素」を農業に返すべきだとの小松先生のお話に、深く納得しました。
今、NHK朝の連続テレビ小説で「おかえりモネ」が放送されています。その中で、登米の豊かな林業と気仙沼で採れる養殖カキのおいしさとは一つに繋がっている、一体のものだというようなお話がありました。小松先生のお話は正にその通りのお話でした。
農林水産業には多面的な機能がある。農業は単に食料を供給する役割だけでなく、生産活動を通じて国土の保全、水源の涵養、生物多様性の保全、良好な景観の形成、文化の継承等、様々な役割を有していて、その効果を国民全体が享受している・・・。
なので、農林水産業に対して単純な市場原理に任せるのではなく、社会共通資本を守るという観点での対策が必要。農家の方が「流した汗が報われる」「来年もやろうと思える」、そういう農業にしていくことが必要で、そのためには農家の所得を保障することや食料自給率を50%をめどに上げていくことなどが必要。
そんなお話だったと思います。

家族農業は、一般的に「遅れている」ととらえられてきました。農業経営と家計が「未分離」だと。
「未」分離というのは「いまだ・・・せず」という意味なので、確かに遅れている印象を与えます。が、「一体」だと表現すれば、とらえ方は大きく変わるのではないかともおっしゃっていました。
このお話には、深く納得しました。

今日のしんぶん赤旗の1面に米価下落対策についての記事が掲載されていますが、小松先生はこういう記事を一面で報道するのは農業新聞(JA発行)と赤旗しかないとおっしゃっていて、印象に残りました。

その他にも、加須の農業従事者の方から田園を利用したソーラーシェアリングの実践のお話があり、またスマート農業の実践のお話もありました。
スマート農業の実践者の方のお話もありました。
スマート農業とはロボット技術やICTの活用で人手に頼らず、省力化・精密化を図りつつ高品質の作物を作っていくという農業のことです。
しかし実際にはロボット技術やICTを活用してもその看視者が必要で、こうした技術を購入するためにお財布はスマートになるけれど農業が本当にスマートになったのかどうかは・・・、というようなお話でした。
実践者のお話を聞くことができたのは、とても良かったと思います。
新たな学びが多く、とても楽しい学習会でした。